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[36225] スネリング選手の記事 投稿者:ウィンディー 投稿日:2005/07/06(Wed) 21:01
シアトルのファンがそのメジャー昇格をここ何年間も待ちわびていたクリス・スネリング選手が、先日ついにマリナーズに上がってきました。今回の昇格が長期的なものなのか、はたまた一時的なものなのかはまだわかりませんが、今度こそ怪我することなく実力の全てを発揮してくれることを心から祈っています…。

「スネリング選手って誰…?」と言う方々のために、以下は昇格が明らかになる数日前にザ・ニュース・トリビューンにアップされた記事です…。(^^)


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               ジェダイの帰還
     ― ダリン・ビーン、ザ・ニュース・トリビューン、7・1 ―
http://www.thenewstribune.com/sports/story/4990845p-4558330c.html



もし、ヨーダが野球をしたとしたら、どんな感じだったのだろう…?

多分、秩序だった練習メニューを遵守し、ライト・セーバーのようにバットを操り、神秘的かつ哲学的なインタビューを行ったに違いない。

つまり、タコマ・レイニアーズのクリス・スネリングにそっくりだったのではないかと思われるのだ…。

この比較は、さほど現実離れしたものとは言えないだろう…例えばヨーダの故郷であるダゴバほどは―。レイニアーズの遠征に必ずヨーダ人形を持っていくスネリングは、今まさにベースボールのダークサイドからその姿を現して、マリナーズ銀河系のトップロスペクトとしての立場を再確立しようとしているのだ。

7月13日にサクラメントで開催予定の3Aオールスターズ・ゲームの先発出場権はダース・ベーダーと闘うまでもなく楽に手にしたスネリングだが、これまでの2年と6ヶ月ばかりは度重なる故障との闘いを余儀なくされた日々だった。

マリナーズにコールアップされたばかりの2002年6月4日の対オークランド戦で左膝の前十字靭帯を断裂して以来、今シーズンが始まるまでの間にスネリングが出場した試合数はわずか65試合。故障、手術、リハビリと絶え間なく続く悪循環の中で、もう二度とプレーできないのではないか…とまで思い悩んだ時期もあった。

しかし、ネガティブな考え方はスネリングの人生には無縁だ。彼は、あのスターウォーズのアイドルの人生哲学を手本にしているのだから。

「僕は、あのヨーダというキャラクターのコンセプト、彼の偉大な叡智、特に彼の『何かを“しようとした(try)”というだけでは意味がない。何かをしたか、しなかったか…この世にはその2つしかない』というあの言葉が大好きなんだ」とスネリングは言う。彼が最初にこのジェダイ・マスターのファンになったのは、まだオーストラリアの高校に通っていた頃だった。「僕がこの言葉を座右の銘にしているのは、“しようとした”だけなら、誰にだってできる、と思うからだ。世の中の人は、“トライする”という言葉を間違って使っていることが多すぎると思う。」

「僕に言わせれば、実際に『する』か『しない』か、それしかないと思うんだ…その中間なんて、ありえない。僕の考え方はそうだ…なぜなら、そう考えるほうが人生は楽になると思うから。」

なんとかもとの健康な状態に戻そうと、スネリングは傷だらけの自分の体が耐えられるぎりぎりの限界まで頑張り続けた。1Aエバレットに在籍していた1999年にスネリングの最初の打撃コーチだったテリー・ポルリースによれば、膝と手の手術、手首の故障等を経験したにもかかわらず、スネリングがここまで打者として成長することができた理由は、まさにそこにあると言う。

「打撃練習ができるとき、やってもいいと(医者から)許可が出たときは、彼は本当に一生懸命に練習していた」とポルリースは言う。

テニスコーチの父を持つスネリングにとって、何事に対しても「一生懸命にやる」というのは至極当たり前のことだった。マメとタコだらけの彼の両手は、彼がいかに多くの打撃練習をこなしてきたかの証だ。彼に言わせれば、彼の情熱の源は、スポーツをこよなく愛し且つ全力でプレーすることを信条としている彼の母国、オーストラリアの国民性にあるという。

少年時代に一旦は父親のスポーツ(テニス)を試してはみたものの、それほど素質がないことに気づいたスネリングは、ティーンエージャーになってからは野球に夢中になった。チームメートとの連帯感、そしてバットの円柱部分で丸いボールをしっかり捉えて打つ…という難しさに惚れ込んだのである。

「野球での失敗は、自分をよりよい人間にしてくれると思う。だって、実際の人生でも絶えず失敗と闘っていなかくてはいけないわけだからね…。」とスネリングは言う。「失敗に耐えられないような人間だったら、きっと野球という魔物にズタズタにされてしまうだろうね…。」

彼のこれらの言葉からは、ジェダイ風の心の平安…あるいは、それが言いすぎならば、全てのスポーツマンが装うとする“クールさ”を感じ取ることができる。だが、そのスネリングとて人間である以上は、疑問や不安や恐れを抱かずにはいられない時もある。彼によれば、走塁で3塁を回る時は、いまだに用心してしまうのだと言う…2002年に膝の前十字靭帯を切ったのが、まさにその場所だったからだ。

昨冬のオフの間、スネリングは、マリナーズのアリゾナ州ピオリアトレーニングセンター近くの自宅では過ごさずに、オーストラリアに戻って、兄と一緒に“アウトバック(オーストラリアの荒野)”を2ヶ月の間彷徨って過ごした。半分は冒険気分を味わうため、そして後の半分は野球から完全に離れるためだった…。

「凄く有意義な時間だった…自分のことが色々よくわかった」とスネリングは言う。「それまでの自分は、また怪我をするんじゃないかとか、もう二度とプレーできないんじゃないかとか、そんなことばかり考えていた。だから、どこか遠くへ行って、そんなことを全て忘れる必要があったんだ。あの旅行のお陰で、かなりストレスが減ったと思う。」

長期休暇は、旅に対する渇望を満たしてくれただけでなく、自分がいかに野球を愛していたのかを再認識させてもくれた。美術や歴史に興味を持つようになったことで、今年の冬は米国内かヨーロッパを旅してみたくもなったのだそうだ。

スネリングが行くところへは、ヨーダも必ずついていくはずだ。スネリングによれば、旅に出るときにはいつもヨーダ人形を持っていくのだという。

ある時、フレズノへの遠征旅行中にその大事なヨーダを飛行機の中に忘れてきてしまったことがあった。保安ゲートを通過してから初めてそのことに気づいたスネリングは、即座に取りに戻ろうとしたが、それはできないと止められてしまった。

「完全にパニクッてたね…」とポルリースはその時のスネリングの様子について言う。「飛行機が飛び立ってしまったら、もう永久にヨーダを失ってしまうって、そりゃもう大騒ぎだった。」

大事な旅仲間を取り戻すためなら、なんでもするつもりだった…とスネリングは言う。もし他に方法がなければ、もう一枚チケットを買ってもいいとさえ思ったそうだ。しかし、幸いそこまですることなく、なんとか係員を説得して忘れ物を取りに戻ることができた。

「全く、あれを取り戻すことができて、本当によかったよ…」とレイニアーズのジャスティン・リオーニ3塁手は言う。彼とスネリングは、1999年にエバレットで一緒にデビューして以来の友人なのだ。

「もう、なんだか知らないけど、完全にヨーダに夢中だからね、彼は…。まるで幼い女の子がバービー人形に夢中になるみたいに、絶対に手放せないんだ。あるいは、お気に入りの毛布がなくちゃだめな男の子みたいに…かな。」

スネリングの性格のこういった一面を、レイニアーズのダン・ローン監督は、“looney tunes”(注:もとはバッグス・バニー等の個性豊かなキャラクターを輩出したワーナーブラザースの有名アニメシリーズの名前で、こういう風に普通名詞的に使うと、「漫画のようにアホっぽい、イカレたやつ」という意味になる^^;)と形容する。負けず嫌いで、トランプから魚釣りにいたる全てのことに全力で取り組むスネリングは、チームメート達にとっては常に笑いの宝庫だ。ボサボサのヘアスタイル、風変わりな服装や言葉遣いなど、彼の全てが面白いのである。

「彼は、愉快な性格の好青年だよ」とローンは言う。「典型的な“looney tunes”だけど、彼がいるだけで周りが活気づくんだ。」

スネリング曰く、「皆によく言われる。他と違ったことをしたがる、型に嵌るのを嫌う、個性尊重主義、ひとそれぞれが好き…とか、なんとかね。」

リオーニにとって、スネリングは最も好きなチームメートの一人だと言う。ただし、一番最初に会ったときは、やせっぽちなバットボーイと間違えてしまったそうだが…。その頃と比べれば、スネリングの5フィート10インチの体には何ポンドかの肉と怪我の痕が増えたが、それ以外では、エバレットでともにプロ1年生を過ごしたあの17歳の少年と少しも変わっていない…とリオーニは言う。

「大分成長したし、大人っぽくもなった」とリオーニは言う。「ていうか、ある面ではそうなんだけど、他の面では全く変わってないと言うか…。ま、そもそも野球ってそんなもんだからね…僕達は、皆、子供みたいなもんさ。」

23年間の人生に様々な経験を詰め込んできたとは言え、スネリングはまだまだ若い。健康でさえいられれば、この先、長い野球人生が待っているはずだ…とローンもポルリースも同意する。

以前ほどの俊足は期待できないかもしれないが、彼の手首は相変わらず目にも止まらぬ素早さでバットを捌けるし、ローンが言うところの「バットの芯でボールを捉える天性の才能」も健在だ。

「彼がメジャーで打てると思うかって…?間違いなく打てると私は確信しているよ」とローンは言う。

将来について…具体的に言えば、スネリングのマリナーズにおける将来については、最近、頻繁に人々の話題に上るようになった。そりゃあ、パシフィック・コースト・リーグ(タコマ・レイニアーズが所属している西海岸の3Aリーグ)でトップから4番目の打率.368なんか打ってれば、そうもなるだろう。再度のメジャー昇格の可能性について訊かれたスネリングは、まるでヨーダのような返答でその質問をさりげなくかわした。

「そんなことは僕にはどうしようもないことだから、考えてもむだでしょう…?」と彼は言う。「無私無欲で野球に打ち込んでいれば、その他の個人的なことは自ずと納まるべきところに納まるもんだよ…。」

                               (以上)(^^)

[36161] ブーン選手の記事 投稿者:ウィンディー 投稿日:2005/07/04(Mon) 22:49
今日の試合前に突然DFA(designated for assignment=40人ロスターから外しておいて一定の期間を経た後に処遇を決定する…要するに、日本で言うところの“戦力外通告”)の通告を受けたブーン選手は、試合が行われている間にいったん自宅に戻って気持ちを落ち着かせ、再び球場に戻って、グランドから引き上げてくるチームメート達をロッカールームで待っていたのだそうです…。順番に並んだ選手達と目を赤くしながら次々に別れのハッグや握手を交わしていたブーン選手は、長年マリナーズの実況アナを務めてきた老デーブ・ニーハウス氏に抱きしめられた時点で、とうとう堪えきれずに泣き出してしまったのだそうです…。

遠征旅行に出発する選手達としばらく名残惜しげにおしゃべりをし、彼らを見送った後もクラブハウスに残ったブーン選手は、メディアと話をし、その後ロッカーを整理してクラブハウスを去って行ったのだそうです…。何度となく涙をこぼしては、「あ〜、恥ずかしい…“ザ・ブーン”は泣いたりなんかしないタフなヤツだったはずなのに…」と記者達に語ったというブーン選手。以下は、公式HPにアップされた記者会見の様子を伝える記事です…。


        ************************************

          マリナーズ、ブーンをDFAにする
       ― ジム・ストリート、MLBcom、7・3 ―
 http://seattle.mariners.mlb.com/NASApp/mlb/news/article.jsp?ymd=20050703&content_id=1113710&vkey=news_sea&fext=.jsp&c_id=sea  




日曜の午前中、マリナーズのクラブハウス内を歩いてきたグレーのジョッギングスーツ姿のブレット・ブーンは、そこにいた記者に歩み寄ると、「何か起こりそうな気配がする…」と囁いた。

実際、それから30分もたたないうちに、ブーンを不安定な身分に追い込む大事件が起こった。なんと、マリナーズはブーンをDFAにすることを発表して、ブーンにとって2回目となるマリナーズでの選手生活に実質的な終止符を打ったのである。これによって、マリナーズは今後10日間以内にブーンをトレードするか、解雇するか、マイナーリーグに送るかを決めることになる。

つまり、ブーニーがマリナーズのユニフォームでプレーすることは、もう2度とないのだ…。

「選手をDFAするというのは、非常に辛いことだ」とビル・バベージGMは言う。「関係者全員にとって、愉快なことはひとつもない…本人にとっても、チームメート達にとっても、そして私や監督にとっても…。彼は、フィールド上ではいつも一生懸命プレーしてくれた。いつも最高のプレーをしてくれたし、最大限の努力もしてくれた。誰もがそのことに対しては感謝していると思う。」

「…と同時に、彼が実力どおりのプレーをできていないことで一番苦しんでいたのは、彼本人であったに違いないと私は思っている…。」

自分の人生を大きく揺るがすこの出来事をなんとか自分なりに消化するために、ブーンはいったん自宅に戻り、そこで数時間過ごした後に記者会見を開くことにした。

誰もいない家に戻ったブーンは(注:現在、奥さんと子供達はカリフォルニアのブーン選手の両親の家に行っていて留守…。なので、「誰もいない部屋で、ただ周りの壁をみつめていた」のだそうです…。…あとでよくよく考えたら、今向こうは独立記念日ウィークエンドなので、家族みんなでお祝いするためにブーン選手の実家に集まっていたんですね…)、気持ちの整理をしたのちに、チームメートやその他の人間に別れを告げるためにセーフコーフィールドに戻ってきた…。

それは、非常に感傷的な別れの場だった。日ごろは勇ましい言動で知られるブーンであったのに、1時間にもわたる苦しい会見の間に、彼は何回も赤ん坊のように手放しで泣いたのだ…。

「辛いね…とても辛い」と彼は言う。「客観的に見れば、この方がいいんだということは自分でもわかっているんだ…いや、ほんとうに。もう、ここを出て行くべき時が来たんだと思う…。(I think it's time for me to go)とっても悲しいけど、それと同時にこれから先、どんな将来が待っているのだろうかと、ちょっぴり期待する気持ちもある…。」

そして、あふれそうになる涙を必死にこらえながら、こうも語った…「僕にとっては、とても悲しい日になってしまった。だって、この町ではいろんな経験もしたし、凄く素晴らしいことも沢山あったからね…。ここ1年半ばかりはチームも低迷してしまったけど、ここのファンはいつでも僕に暖かかった…。ここで沢山の成功も収めたし、沢山の素晴らしい選手達とプレーすることもできた…誰もがほんとうに最高だった…。」

これまでにも3回のトレード(そのうち1回はマリナーズから…)を経験してきたブーンだが、これほどまでに感傷的な気持ちになったのは初めてだったという…。高ぶる感情を静めるために途中で何度も会見を中断しなくてはならず、とうとう我慢しきれずに泣き出してしまった時は、「まるで、赤ん坊になったような気分だ…」とつぶやいた。

チームメート達が自分一人を置いて遠征に出発していくのを見送るのも、非常に辛かったという。

「僕の未来には必ずいいことが待っているはずだと思って、楽しみにしている部分もある」と彼は言う。「でも、それと同時に、今は凄く悲しい…こんなのは、今まで一度も経験したことのないことだから…。」

ブーンによれば、多分、今後しばらくはシアトルに留まってセーフコーフィールドでワークアウトに励みながら、自分の野球人生がどう展開するのかを待つことになるだろう…とのことだ。

「まだまだやれると自分では思っている」と彼は言う。「改善すべきところは沢山あるけど、まだ十分にどこか他のチームの役には立てるはずだ。」

もう1週間以上もブーンのトレードを成立させようと努力してきたバベージだが、ブーンの高額年俸(925万ドル)と成績不振(打率.231、7本塁打、34打点)が大きな障害となっていた。

「こうなる前に、我々も何球団かとはトレード交渉をしてきたし、かなり真剣な交渉に発展したものもあった」とバベージは言う。「しかし、ご存知の通り、野球界では期限のない交渉ごとというものは、なかなか進展しないものなんだ。なので、我々は、事態の進展を促す目的で、自分達自身にも、ブーンに関心を示したことのある他のチームに対しても、はっきりとした期限を設けることにした。彼をDFAにするということは、そういう効果を狙ってのことなんだ。(注:ある程度の関心を示したチームが複数あった場合、本気で獲得を狙うチームは、ウェーバーにかけるのに必要な最後の48時間を除いた8日間以内にマリナーズとトレードを成立させてしまわないと、ウェーバーでウェーバー順位が高いチームに横から獲られてしまったり、その後はブーン選手が完全なフリーエージェントになってしまって本人の意思が大きなウェイトを占めるようになり、かえって獲得しにくくなる可能性もある…ということらしい。そういえば、NYYのクアントリル投手も、DFA後にサンディエゴへのトレードが成立しましたよね…)

また、これによって2塁には穴が開くことになり、その穴を埋めるためにホセ・ロペスがタコマから呼び戻された。

「今回の一連の動きは、ブレットをDFAにするだけでなく、ホセ・ロペスをチームに加えることも目的のひとつになっている。」

(中略・・・ここでロペス選手の最近の成績と、ブーン選手の過去5年間の実績等が紹介される…)

「もし、ウチのチームがずっと勝っていたら、こういうことは起こらなかった可能性もあるかもしれない」とバベージは言う。

「ウチのチームが苦戦してきたのは、何もブレット・ブーン一人のせいではない」とマイク・ハーグローブは言う。「―でも、もし今日のチームの方が昨日のチームより良くなったかって訊かれれば…そうだね、と私は答えるだろう。」

「正直に言えば、今回のことは、ブレットにとってもこのチームにとってもベストな道だと私は思っている」とハーグローブは付け足す。「誰にとっても、先に進まなくてはならない時というものはやってくるものだ。個人的には、ブレットにとっては今がその時なんだと思う…。こういうことは、いつでも非常に辛いもの。大嫌いな敵に対してだってやりたくないことなのに、自分が敬意と好意を抱いている選手に対しては、なおさらだ…。」

バベージによれば、このニュースを日曜の午前中に告げられたブーンは、「非常にプロらしい」態度で受け止めたと言う。

「彼はとても冷静に聞いていたけど、明らかに落胆していた」とバベージは言う。「彼は、シアトルのことが好きだし、ここでの暮らしを非常に気に入っていた。ここでとてもいい数年間を過ごしたのだから、そりゃあ辛いのも当然だ…。でも、彼はこれ以上はないというほどプロらしく振舞ったよ…。」

バベージは、今後もブーンのトレード実現に向けて努力し続けるし、AL西地区最下位に落ち込んでしまったチームを改善するための他の作業にも手をつけるつもりでいるという。トレードへの扉は開けてあるそうだが、いまのところ具体的な話はないのだそうだ。

「四六時中、携帯を持って歩かなくてはならないような話は、今のところ何もない」とバベージは言う。「ウチのチームには、今のこの状況を好転させることができると信じている連中が沢山いる。私自身もそう思っている。ただ、問題は、もう時間があまり残っていないということだ…。」

ロペスとともに上がってきたスネリングの今季のタコマでの成績は、打率.363(215打数78安打)、7本塁打、40打点。第4の外野手として、また左の代打としてベンチに控えることになる。

「ランディー・ウィンを休ませるために彼を時々外野に入れることを考えている」とハーグローブは言う。「クリスの加入で、左側からの長打力が以前より増えたことになる…。」   
                            (以上)

[34356] ウィルソン選手の記事 投稿者:ウィンディー 投稿日:2005/05/06(Fri) 23:18
…まだ何もはっきりしたことはわかりませんが、今の私の心境をこの記事に込めてお届けしたいと思います…。m(__)m


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       ウィルソンの選手生活はこれで終わりかもしれない
      ― ジョン・ポール・モロシ、シアトル・ポスト、5/6 ―
 http://seattlepi.nwsource.com/baseball/223196_wilson06.html



諸手続きも済み、専用のロッカーも決まったデーブ・ハンセンは、水曜の午後、メジャーへの復帰を果たすためにセーフコーフィールドに足を踏み入れた。しかし、見慣れた“あの顔”を見るまでは、ほんとうに戻って来れたのだという実感は彼には湧かなかった。

それは、この12年の間…2つの球場と7回のポストシーズンと1,250試合の間、ずっとマリナーズを守り続けてきたあの“歩哨(sentry)”、ダン・ウィルソンの顔のことである。1回だけオールスター出場を果たしたウィルソンではあるが、自身の栄誉や賞のためにプレーしたことは一度もなかった。自分の役目が控え捕手でしかないことを知りながらも今季彼がマリナーズに戻って来たのは、決してそういうものを求めてではない。彼は、ただひとえに、かつて自分がその基礎を築くのに一役買ったチームを助けるためだけに戻ってきたのだ。

だからこそ、ハンセンにとっては、水曜の午後にウィルソンに会うことが何にも増して重要だったのである。

ウィルソンを見つけた時、「ああ、『マリナー』がいた…」と、ハンセンは思ったと言う。「僕は戻ってきた…僕はやっとマリナーズに戻って来れたんだ。」

しかし、ウィルソンは長年の持ち場だった船首から離れることになってしまった。どれくらいの期間のことになるのかは、まだ誰にもわからない。水曜の試合の終盤、ウィルソンは右膝の前十字靭帯を切ってしまった。そして、今日、球団はラリー・ペデガナ球団医による手術が5月20日に行なわれることを発表した。

リー・ペレコウダス球団役員によれば、リハビリには6〜8ヶ月はかかる見込みだと言う。つまり、ウィルソンの今季はほぼ終わってしまったも同然なのだ。同じことは、ウィルソンの現役生活自体についても言えるのかもしれない。今年36歳のウィルソンとマリナーズの契約は、今季末に切れてしまうからだ。

「とっても悲しいニュースだ…」と遠征先のボストンでハンセンは言う。「僕が今まで一緒にプレーしたチームメートの中で、彼は最もプロ意識の高い選手の一人だった。」

球団が来期以降もウィルソンと契約することを考えているのかどうかについては、ペレコウダスはコメントすることを避けた。ウィルソン本人と連絡を取ることも記者はできなかった。

「あんなふうにして選手がグランドを去るのを見るのは辛い」とペレコウダスは言う。「ましてや、彼の場合は、球団組織内でもクラブハウス内でも、とても人気のある選手だったからね…非常に大きな打撃だ。」

ブライアン・プライス投手コーチは、今日(こんにち)のメジャーリーグにおいて、彼ほど純粋に「チーム優先主義」を貫いている選手を見るのは稀であると指摘する。

「クラブハウスだろうが、フロントオフィスだろうが、コーチ室であろうが、どこでもいいから出会った人間に片っ端から『この球団内でいちばんいいヤツは誰か?』と訊いてみればいい。間違いなく『ダン・ウィルソン』って答えが返ってくるから―」とプライスは言う。「彼の人間としての高潔さや選手としての几帳面さに文句をつけられる人間など、誰一人としていないはず。そういう彼の存在がグランドから消えてしまうことは、大きな痛手だ。なんといっても、彼はうちのチームの不変的存在だったからね…。」

ウィルソンは、現役のマリナーズの選手の中では最も長くシアトルでプレーしてきた選手だ。彼がマリナーズにやってきたのは、1993年のレッズとのトレード…そう、覚えている人も多いと思うが、ブレット・ブーンとの交換トレードでだった。4人の子供の父親でもあるウィルソンは、それからの10年間以上をシアトルにしっかりと根を下ろして過ごしてきた。

典型的な地方都市出身者であるウィルソンは、故郷のイリノイ州バリングトンのリトルリーグ・チームをリトルリーグ世界大会まで導いたこともある。今現在は、『ホームレスの子供達を支援するためのダン・ウィルソン基金』の主催者として、試合でランナーを刺すたびに一定の金額を『First Place School』(生活困難家庭の子供達の教育を援助する社会福祉団体)に寄付する活動などをしている。

水曜の試合でも、彼はダラス・マクファーソンを2塁で刺した。

もし、これが本当に“最後”だったのだとしたら、ウィルソンはマリナーズでの最後を、自身の最盛期だった1995年を彷彿とさせるような会心のパフォーマンスで締めくくったことになる。3打数2安打で得点を叩き出しただけでなく、本塁に突入してきたヴラディミール・ゲレーロへの追いタッチを巧妙にマーク・ウェグナー主審にアピールして見事にアウトのコールを勝ち取ってみせたのである。

―だが、終わりは突然やってきた。7回裏の走塁中、急な方向転換を試みた瞬間に彼の膝の靭帯は切れてしまった。それでも、彼は全力疾走で1塁まで戻ると、スライディングまで試みた。その後もさらに数球投球が続き、最後にようやく試合を止めたのは、彼自身ではなく、異常を察した1塁ベースコーチのカルロス・ガルシアだった。

ウィルソンとは、ずっとそういう男だった…タフで、賢くて、優秀な選手だった。

「彼がグランドから下がってきた時…十字靭帯をやってしまったのかもしれないと一番最初に聞いた時、私が真っ先に思ったのはそのことだった」とプライスは言う。「もし、これが彼の今季最後の試合になってしまったのだとしたら、なんと彼らしい試合だったことか…とね。彼はチームを助けようとして、自分の持てる力の全てを出し切ってくれたんだ…。」

昨年の12月に1年契約にサインをした時、ウィルソンはこう言っていた: 「来年が僕の最後の年になるかもしれない…まだ、はっきりとはわからないけど。ただ、今は1年単位でしか物が考えられないんだ。」

ハンセンは、ウィルソンがもう1年やろうと決心してからまだ6ヶ月しか経っていないことを指摘して、彼が来年も現役を続けようと思ったとしても驚きはしない、と言う。さらには、元捕手でかつてのハンセンのチームメートでもあったマイク・ソーシアとウィルソンとの間には、多くの類似点がある、とも付け足す。

「ダンは、僕が語りつくせないほど優秀な男」とハンセンは言う。「彼には、本当に天賦の才能がある。僕は、彼なら十分にメジャーチームの監督としてやっていけると思っている。」

とは言え、現役を終えたウィルソンが野球とは完全に縁を切り、これまで球場や移動の飛行機内で費やしてきた時間を全て家族と過ごすために使おうと決心する可能性もある。

ウィルソンが60日故障者リスト入りするのに伴って、メジャー復帰は2年ぶりとなるウィキ・ゴンザレスがロスター入りして上がってくることになっている。正捕手は、今まで通りミゲル・オリーボが務める。

…そして、この町のベースボールを熟知し、こよなく愛してきた多くのファンは、はたして昨日がハンセンの言うところの「ランドマーク的存在の選手」の見納めとなってしまったのかどうか、当分の間、あれこれ思いを巡らすことになるのだろう…。

「ダン・ウィルソンは、野球のコーチなら誰でもが『ああいう風に育てたい―』と思う選手」とプライスは言う。「彼こそが、理想のその選手なんだ。」

                                  …(以上)

[33407] モイヤー家の記事 投稿者:ウィンディー 投稿日:2005/03/31(Thu) 18:23
こんばんは。(^^)
昨年に引き続き、今年もモイヤー投手が開幕投手になることが発表されましたネ。今年こそ、モイヤー投手にとって、ひいてはマリナーズ全体にとっても幸先のいい素晴らしい開幕試合になることを祈念しつつ、モイヤー家についての興味深い記事をご紹介することにします〜。(・・・ちなみに、この記事を読んだズボラな私の感想:「かなり大変そうなので、私がモイヤー家の子供になるのは無理だぁ…(_ _)」)^^;;;



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             モイヤー家は絶えず移動中
       ― カービー・アーノルド、ヘラルドネット、3/29
 http://www.heraldnet.com/stories/05/03/29/100spo_msmoyer001.cfm



モイヤー家にとって、また引越しの時期がやってきた。

現在、彼らはスコッツデール(キャンプ地、アリゾナ州ピオリアの近くの町)に借りていたアパート内の荷物を箱詰めしている最中で、間もなく、野球道具や、衣服、玩具、楽器、ベビーバギーやベビーチェアなどの品々がトラックに載せられてシアトルへ向かって輸送されることになっている。

こういう一家揃っての移動は、ジェイミー・モイヤーにとっては、彼が着ている背番号50のマリナーズのユニフォーム同様、お馴染みの物になってきている。

2月初旬、夫婦と6人の子供たちは、6週間の滞在に必要な日々の必需品を荷造りしてアリゾナへ送り出した。そして、3月下旬には、今度は同じことをシアトルの自宅に帰るためにするのである。

今年は、モイヤーがプロのベースボールプレーヤーになって21年目にあたる。1984年以来、彼はこうした引越しに次ぐ引越しの生活を続けているのだ。

「ベースボールのお陰で、私たち一家は環境の変化に順応するのがとってもうまくなったわ」と妻のカレンは言う。「結婚して以来、もう67回も荷造り・荷解きを繰り返しているんですものね。」

その中には、オフシーズンに住んでいる家からスプリング・トレーニング用の仮住まいへの引越しとその後のレギュラーシーズン用の家への引越しのほか、たまに起こるシーズン中のトレードやマイナーへの降格に伴う引越し等も含まれている。

今週半ばにモイヤー一家がレギュラーシーズン開始に備えてスプリングトレーニングの地を離れると、それは68回目の引越しということになる。

子供たちにとっては、父親がアリゾナで春季キャンプに参加している間はシアトルに残って普段どおりの生活を続けていくほうが楽に違いないのだが、現在42歳のモイヤーとその妻は、家族はどんな時でも一緒に居るべきだという固い信念を持っている。

2月中旬以降、ジェイミー&カレン夫妻と彼らの子供たち…長男ディロン(13歳)、次男ハットン(11歳)、三男マッケイブ(1歳)、長女ティモニー(9歳)、次女ダフィー(7歳)、三女グレイディー(8ヶ月)…にとっては、アリゾナが「ホーム」だったのだ。

「私はこういう生活が大好き」とカレン・モイヤーは言う。「ジェイミーが引退してこれがなくなったら凄く寂しくなると思う。」

とはいえ、これは「冬の間に避寒地で過ごす素敵なバケーション」などというお気楽なものとはわけが違う。家族全員がそれぞれの「責任」をきっちりと果たす地道な生活なのである。

学齢に達している子供たちは全員、アリゾナでの滞在期間中は地元(スコッツデール)の学校に編入しているが、休学しているシアトルの学校の方のカリキュラムにも遅れないようにしなくてはならないので、両方の学校の宿題をこなすために毎晩3時間は机に向かわなくてはならない。それだけでなく、彼らはバイオリンのレッスンにも励み、地元のサッカーチームにも入ってプレーしているのだ。(注:アメリカは6月が学年の終わり。今は学期の途中なので、短いイースター休みがあるだけで日本のような長い春休みはない…。)

「かなりの負担であることはわかってはいるが、家族はできるだけ一緒に居なくてはならないというのが我々の持論だ」とジェイミー・モイヤーは言う。「責任を背負ってそれを果たすことの大切さを、子供たちの意識の中に今からしっかりと植えつけておきたいと思っている。もちろんそれは簡単なことではないけど、そもそも、人生に簡単なことなんてあるのかい…?」

学齢の子供のいる選手達のほとんどは、家族を自宅に残して一人で春季キャンプにやってきており、短い冬休みや春休みの期間だけ家族を呼び寄せて会っている。

片や、ダン・ウィルソンと妻のアニーも、2人の息子と2人の娘を連れて家族全員で春季キャンプの全期間中をアリゾナで過ごしている口だ。その間の子供達の勉強に関しては、元教師だったアニーが自宅で教える「ホーム・スクーリング」の方法をとっている。

「家族がアリゾナに一緒に来てくれることは、僕にとってはこの上なく大切なこと」とダン・ウィルソンは言う。「一人だとものすごく寂しい。家族がここに居ないときは、彼らが来るまでの日数を指折り数えて待つほどだ。一日の練習が終わって家に帰ったときに、家族がそこにいてくれることに勝るものはない。」

ウィルソン家とモイヤー家にとってはベストのこの方法も、他の家族にとってはそうではないことは、ウィルソンにもよくわかっている。子供達、特に学校に友達がたくさんいてさまざまな活動に関わっているより年齢の高い子供達にとっては、たった6週間のために転校までするのは非常に難しいことだからだ。

「親としては、まずは子供のために何がベストなのかを考えなくてはいけない」とウィルソンは言う。「自分自身の希望は二の次だ。子供をあちこち動かすことは、本人達にとってはとても辛いことである場合もあるからね…。」

モイヤー家にとっては、ベッドルームが4室もある今のアパートでもスペースは不足気味だ。なんといっても活動的な8人家族で、しかも這い這いを始めたばかりの赤ん坊と「何でもしたがる盛りの」赤ん坊が二人も居るのだから―。

上の2人の男の子達が1部屋に、上の2人の女の子達がもう1部屋に、上の赤ん坊が3つ目の部屋を、そして一番下の赤ん坊とジェイミー&カレン夫妻が一緒の部屋で眠るのである。

「ここに居る間は、生活の規模を極力抑えてシンプルに暮らすようにしているの」とカレンは言う。「衣類や玩具も少ないし、子供達が遊ぶような庭もないし―。」

モイヤー家は、毎年の春季キャンプ行きを利用して、1年の間に溜まってしまった家中の不用品を整理・処分することにしている。

「いわば、春の大掃除だね」とジェイミー・モイヤーは言う。「前の年から今年にかけて小さくなってしまった子供達の夏服は、下の子達へのお下がりにしたり、寄付にまわしたりする。で、こっち(アリゾナ)に来たらナイキのアウトレットショップに繰り出して、靴、ソックス、Tシャツ、短パン、トレーナーなどを必要なだけ買い込むことにしているんだ。春夏用衣類のショッピングはだいたいここで済ませるので、シアトルに帰るときには来たときよりも荷物が増えていることが多い。」

モイヤー家のアリゾナでの毎日のスケジュールは、仕事と学校とさまざまな活動をやりくりしなくてはならない普通の一般的な家庭となんら変わりはない。違うことといえば、ジェイミー・モイヤーの仕事の場が野球グランドであるということと、カレンがモイヤー基金の活動に多くの時間を割いているということぐらいだ。

ジェイミー・モイヤーは、毎朝6時には起きて、ピオリアにあるマリナーズの春季キャンプ練習施設へ車を運転して向かう。一方、カレンと子供達の起床時間は7時頃だ。大きな子供達をそれぞれの学校へ車で送っていったあと、カレンの一日はワークアウトやモイヤー基金に関する仕事で過ぎていき、下校時刻になるとまた各学校を車で回って子供達を拾ってくるのである。

日によっては午後に息子達のサッカーの試合があったり、先週のように夜に学校の「科学祭」が開催されることもある。

さらには、毎日必ず宿題がある。アリゾナとシアトルの両方の学校の課題をこなさなくてはならないモイヤー家の子供達であるだけに、その量は特に多い。

「シアトルの学校に対して、彼らのカリキュラムを守ると約束した以上は、その責任をきちんと果たす義務が我々にはある」とジェイミー・モイヤーは言う。「私の職業が特殊だからといって、学校に特別扱いをしてもらったりはしたくない。また、こちら(アリゾナ)の学校に対しても、一時的な滞在だからといって、『あれはできません、これもしません』などとは言いたくない。『他の子達と全く同じように扱って、課題なども同じように出してほしい―なんとしてでも、全てきちんとやりとげさせるようにするから』とそれぞれの学校にはお願いしてある。」

しかし、そのことはとりもなおさず、上の男の子達ディロンとハットンにとっては、3時間分の宿題とほぼ毎晩取り組まなくてはならないことを意味する。

「どの学校も、私達の要望を気持ちよく受け入れてくれた」とジェイジーは言う。「なので、同じように私達のほうでも、学校側の要求に対しては誠意を持ってこたえなくてはならないと思っている。」

子供達がこれほどうまく順応していけている理由のひとつには、彼らが生まれてこのかた、毎年ずっとこういう生活を繰り返していることがあげられる。

「子供達は、この生活スタイルしか知らないからね」とジェイミーは言う。「突き詰めれば、家族とはどうあるべきなのか…ということなんだと思う。そりゃあ、家族をシアトルに残しておいて、キャンプ中はお互いに全く会わないという風にもできるよ。その場合は、全てが母親一人の肩にかかることになる。勿論、そういうのも選択肢の一つなんだろうが、私達の家族にとっては、それはうまくいく方法とは思えなかったんだ。」

子供達にかかる負担は小さくはないものの、彼らにとっては見返りのほうがはるかに大きい。

「だって、父親とずっと一緒にいられるんですものね」とカレン・モイヤーは言う。

いったんレギュラーシーズンが始まってしまえば、たとえマリナーズがホームでプレーしている時でも、ジェイミー・モイヤーが子供達と一緒にすごせる時間はほとんどない。朝、子供達が登校する時間にはジェイミーはまだ眠っていることが多いし、彼らが学校から帰ってくるころには、すでに球場に行ってしまっているからだ。

「開幕後は、子供達に関しては、僕はほぼ完全に部外者になってしまう」と彼は言う。「子供達に関する情報は、カレンを通して、あるいは上の子達を通して聞く間接的で断片的なものに限られてしまう。とても辛いことだけど、これがウチのライフスタイルなんだからしょうがない。自分達で選んだ生活なんだから、自分達で何とかしていくしかないんだ。」

学校のない週末や夏休みには、ディロンとハットンはセーフコーフィールドの外野にいることが多い。ズボンの膝に芝生の染みをつけながら、ジェイミーが打つボールを追って過ごすのだ。ここ数週間は、学校のスケジュールが許す範囲内で、ピオリアでも同じことをやってきた。先週の金曜日にジェイミーがマイナーの練習試合で投げたときなどは、ディロンとハットンがバットボーイを務めたりもした。

「僕自身にも、子供の頃に父親と一緒に過ごした野球の思い出がいっぱいある」と彼は言う。「それらは、野球のシンプルな本質を思い出させてくれるだけでなく、いろんなことを正しいバランスで見られるようにしてくれるんだ。」

42歳のジェイミー・モイヤーにとっては今年が契約最終年であり、本人から引退についてはまだ一言もないものの、そうなる可能性は非常に高い。

そういう事情ゆえに、今年のスプリング・トレーニングは心情的に辛いものになるのかもしれない…とカレン・モイヤーは思っていた。来年の冬は、家族全員が父親とともにシアトルの自宅で過ごしているかもしれないからだ。

「ジェイ・ビューナーが引退した後に、『春季キャンプがなくなって寂しくない?』ってリア(ビューナー夫人)に訊いてみたことがあるの」とカレンは言う。「彼女、『春季キャンプに行かなくなったことは、凄く寂しい』って言っていた。だから、今年は、私達もこれが最後になるかもしれないって、考えてしまうだろうって思ってたの。でも、ふたを開けてみたら、ジェイミーが今シーズンに向けて凄く張り切っていてね。健康である限り、ずっと投げ続けたいという気持ちになっているみたいなの。実際、体調もいいし、キャンプでの調子もとてもいいみたいなので、今後どうなるかは今は全くわからないわ。」

「野球選手の家族にとって、春季トレーニング中の生活なんて派手さのかけらもないとても地味なものだけど、私はこれが大好き―。家族がずっと一緒に過ごせる期間としてはこれ以上のものはないので、毎年これができるように、家族全員で努力を重ねてきたの…。」

                                     (以上)(^^)

[33367] ハーグローブ監督の記事 投稿者:ウィンディー 投稿日:2005/03/25(Fri) 18:50
こんばんは。(^^)
今日の試合では、せっかく最終回まではリードしていたのに、なんとあの“哀愁のシリーロ選手”にサヨナラホームランを打たれて逆転負けを喫するという悲しさ…。(_ _)ガックリ その他にも、ベルトレ選手がランニングホームランでホームインした直後にハムストリングに張りを感じて早々に交代してしまったり(地元紙によれば、たいしたことはないそうですが…)、なんかマリナーズにとっては冴えない一日となってしまった模様です…。(-_-;)

…んなわけで、気分転換(?)としてハーグローブ監督の短い記事でもどうぞ。(^_^) 例年にない厳しい練習の連続で選手達の疲れも心配されていましたが、どうやらその厳しさが「吉」と出たようで、ハーグローブ監督も選手達の意識の変革振りには満足している模様です…。(^^)


             ************************

       ハーグローブが求めているものは攻撃性
     ― ラリー・ラルー、ザ・ニュース・トリビューン、3/24 ―
http://www.thenewstribune.com/sports/mariners/story/4715837p-4354280c.html


先発ローテーションも未定、新たに獲得したパワーヒッターたちのホームラン攻勢もまだ、チーム全体としてもここまでのオープン戦成績では負け越している。

それなのに、最近のマイク・ハーグローブに笑顔が多いのはなぜなのか…?

それは、今回のキャンプに彼が持ち込んだ新しい方針が上手く機能するようになってきたからだ。

「今年のキャンプは、このチームが過去に経験してきたものとは少しばかり違っていたはず。我々は、選手達に対してこれまでとは少し違った事を、すこし違った方法でやってくれるように要求してきたが、彼らはそれらを進んで受け容れてやってくれた」と監督は言う。「そのことに私は満足している。」

ハーグローブがこのチームに求めているもの、それは攻撃性だ。走塁でも、守備でも、打席でも然り。少しでも先の塁に進もうとするチーム、そうすることで相手守備のミスを誘うような攻撃的なチームを彼は求めているのだ。

シアトルにとってこのキャンプがどういう風に今までと違うかと言えば、さまざまな事が反復練習によって選手達に叩き込まれることだ―何回も、何回も。走塁練習、外野からの返球をカットしたり繋いだりする練習、内野守備練習に打撃練習―。

「この春にやったこと…それは、とにかく練習に次ぐ練習だ。」とブレット・ブーンはいう。「これほど沢山のゴロを捕球したり、これほど何回もバットを振ったことは今までなかった気がする。間違いなく、今までとは全く違ったキャンプだよ。」

これほどまでに攻撃性に重点を置いてきた練習の効果は、はたしてどうなのであろうか…?

「時には、傍から見てバカみたいな失敗をすることもある…実際、もうすでに何回かやっているしね。」とハーグローブは言う。「でも、やる気に逸る(はやる)選手達の手綱を引き締める方が、覇気のない連中の尻を叩いて追いたてるより、よっぽど簡単だ。たとえ、バカみたいに見える無謀な走塁ミスが1回あったとしても、今までは何も出来なかったような場面で得点圏に走者を進めたり走者を生還させたりすることが、そのミスの4倍はできるようになっているのだからね。」

「相手チームにしても、うちが積極的に走ってくると思えば、今までとは違った事をしてくる可能性が出てくる。そういうふうにもっていくのも、相手チームにプレッシャーをかける一つの方法なんだ。うまくいけば大きな見返りが期待できるのだから、私は少しのミスには目をつぶるつもりでいる。どれほどのことができるのか、ギリギリのところまでやらせてみるつもりだ。」

彼のこの方針を選手達が忠実に実践しているのをハーグローブは見て来ており、彼にとっては、そのことの方がオープン戦の勝敗よりも遥かに大きな価値がある。

「とてもいい方向に進んでいると思う。選手達もきびきびとプレーしているしね」と彼は言う。「見ていると、打者同士で、『あのピッチャーは何を投げてきた?どんな球だった?』とお互いに訊きあっているんだ。私がこれまでいたチームでは、選手達がお互いにそういう情報交換をすることはほとんどなかった。そういうことを積極的にやっているということは、誰もが試合に集中しており、メンタル的にも自分たちの仕事をしっかりやろうという準備が出来ていることを示しているんだと思う。」

「こういう風に選手達が試合のメンタル面においてもしっかりやっていれば、その他大勢のチームからは一線を画した、何かを成し遂げられるチームになれるはずだと私は思っている。全員がそういう意識を持ったままでこの先も突っ走ってくれれば、この夏にはなにか楽しいことが起こる可能性も充分にあるね。」

                            (以上)(^^)

[33098へのレス] Re: NYタイムズ? 投稿者:ウィンディー 投稿日:2005/03/02(Wed) 13:38
NYタイムスの『Master at the Plate Takes Aim at .400(打撃の名手、4割を狙う)』と言う記事ですね。さほど長い記事ではないので、多分今日中にはご紹介できると思います…。(^^) (…追記:今NYタイムスのサイトへ行ってみたら、他の新しい記事がアップされたのに伴って、記事のタイトルが下記のように変わっていましたので悪しからず…^^;)

一方、なかなかさんがご紹介してくださったもう一つの記事、地元の経済紙「プージョット湾ビジネスジャーナル」の『イチロー(株):M’sの真のインパクトプレーヤー』は、「マリナーズはこのオフにイチローを上回る高額契約で強打者セクソンとベルトレを獲得したが、そのことによって、イチローのインパクトプレーヤーとしての球団内のポジションが脅かされることは決してない。国内外のグッズ販売、集客力、広告収入等のマーケティング面から見ても、イチローのチームへの貢献度は計り知れない…」というような内容になっています…。(^^)

            *****************************

         スズキ、魔法の技で「.400クラブ」入りを狙う
         ― アイラ・バーカウ、NYタイムズ、3/1 ―
http://www.nytimes.com/2005/03/01/sports/baseball/01ichiro.html


AL首位打者7回の殿堂入り名打者ロッド・カルーは、投手の投げた球を打って外野に置かれたガムの包み紙に当てることができるほどの卓越した打撃技術の持ち主だったと言われている。イチロー・スズキは、そんなカルーの“打撃術における子孫”である。

シアトル・マリナーズのオールスター右翼手スズキは、昨シーズン.372を打ってメジャー4年目にして2つ目の首位打者のタイトルを獲得した。それと同時に、彼は262安打を叩きだして84年ぶりに年間安打数記録を塗り替えた。その数字は、1920年(当時の年間試合数は154試合)にジョージ・シスラーが打ち立てた記録よりも5本多く、昨年の他のどの打者の記録よりも41本多い。スズキの262本の安打のうち、225本はフィールドのあらゆる方向に打ち分けられた単打である。

身長5フィート9インチ弱、体重わずか170ポンドでバットが重すぎるようにさえ見えるスズキだが、野手が左に動けば右に打ち、右に動けば左に打ち、野手がホームよりに動けばその頭上を越えるような当たりを打ってしまう。そして、少しでも深めに守ろうとする野手には不運が待ち受ける…昨シーズンのイチローはメジャートップとなる57本の内野安打を放っているのだ。

「彼はバットのマジシャンだ」とマリナーズの新打撃コーチドン・ベイラーは言う。

現在のマリナーズのクローザーでミネソタ時代にはスズキと対決したこともあるエディー・グァルダード曰く、「彼は、他の誰よりも長い時間、ストライクゾーンにバットを残しておくことができる打者。それほどバットコントロールがいいんだ。ツィンズにいた頃、マリナーズの打線について打ち合わせをするときに皆が言っていた事は、『彼には中途半端な球は絶対投げるな―必ず打たれるから』だった。」

―ということで、ここで話をガムの包み紙に戻そう。果たして、スズキには、そんな小さな的に当てられる特別な能力はあるのだろうか…?

「それはちょっと難しいかもしれない。ゴルフで木に当てるのは上手いんだけどね…」と彼は答える。

彼が座っていたのはマリナーズが春期キャンプを張っているピオリア・スポーツ総合施設内の自分のロッカーの前。通訳を介して答えるイチローは、顎と唇の上に薄い髭をたくわえた顔で自分のジョークに微笑む。―それとも、ジョークではないのか…?「僕の場合、100を切れたら御の字だからね」と彼。

スズキは、野球のボールを引っ叩くことに関しては遥かに巧みである。昨シーズンの彼のオールスター後の打率が.429だったことから、一部のファンは彼ならシーズン打率.400も可能なのではないかと思っている。1941年にテッド・ウィリアムスが.406を記録して以来、.400以上を打ったメジャーリーガーは誰もいない。1977年のカルーは、8安打足りなかったがために打率.388でシーズンを終えた。1980年にはジョージ・ブレットが.390を記録し、ストライキのせいで短縮シーズンとなった1994年には、トニー・グィンが.400を追い求めながら.394で終わっている。

「彼ほどボールにバットを当てるのが上手くて、彼ほど打撃練習やウェートトレーニングや相手投手の研究を通して毎日真剣に打撃に取り組んでいる男なら、引退するまでにはきっと.400を達成するんじゃないかと思う」とグァルダードは言う。

ベイラー曰く、「イチローとテッド・ウィリアムスが打撃について語りあうのを聞くことが出来たら、面白いだろうね。多分、ウィリアムスは、イチローが初球を振らなかったら…というか、あれほど頻繁に早いカウントで振らないでもっといい球が来るまで待っていたら、.400を打てる可能性はもっと大きくなるのに…って言ったと思うよ。」

そのことに関しては何の予言をするつもりもないスズキは、「その可能性はなくはない」とだけ答える。彼がホームランを狙って打つことは滅多にないが、それは、そうすることはリードオフヒッターである彼の役目ではないと思っているからだ。また、バッターボックスでは、絶えずより上手くなりたいと思いながらやっている…と彼は付け足す。

「全打席のうちの30%では、投手に対して全く歯が立たない」と彼は言う。「投手の球威やコントロールのほうが良すぎるからだ。でも、残りの70%ではチャンスはあるので、そこでは相手のミスを最大限に利用するようにしなくてはいけない。僕自身は、そのうちの半分の打席ではそれが出来ていると思う。」それゆえの37%何がしかの打率なのである。 

「そして、やっと答えが見つかったと思っていると、投手の方がまた何か違うことをやってくる」とスズキは付け足す。「だから、こちらとしては、2歩進んで1歩下がるということになる。」

もし、スズキが4割以上を打てる可能性についてグァルダードが言っていたことが正しいとすると、次に来る質問は、「ではいくつまでいけると思うか…?」になる。史上最高の打率を書いた紙片をスズキに渡してみた。1900年以降で最高の数字と言えば、1901年にフィラデルフィアのナップ・ラジョアが記録した.426と、1924年にカージナルスのロジャース・ホーンズビーが記録した.424である。

スズキは、渡された紙片の内容に興味深げに目を通した。「今日のベースボールと当時のベースボールでは、内容がまるで違う」と彼は言う。「打者にとっては、今のほうが難しくなっていると思う。今の先発投手は6イニングほどしか投げずに、あとはセットアッパーやクローザーが出てきて投げるからね。時には、たった一人のバッターを打ち取るためだけに、その打者の弱点に合わせた新しい投手を出してくることさえある。」

全ての投手が、元オークランドの右腕投手で今はアトランタに移籍したティム・ハドソンのようでなくて良かった…と彼は言う。「彼は頭もいいし、僕にとっては打つのがとても難しい投手」とスズキは言う。「彼の投げる球にはどれにも気持ちがこもっているんだ…魂と言うか、情熱と言うようなものがね。たとえ何処へどんな球を投げてくるのかが予想できたとしても、彼は僕が予想していることに気づきながらもそのまま投げてきて、それでも僕を打ち取ってしまったりする。彼は、対戦するのが楽しい投手であると同時に、対戦したくない投手でもある。彼との対戦は、闘いだしチャレンジなんだ。」

さらに、昨年のスズキは4年連続でゴールドグラブ賞も受賞、盗塁部門でも36盗塁でリーグ2位だった。オフシーズンには、日本政府が民間人に与えるものとしては最高の賞にあたる国民栄誉賞の打診を受けて辞退している。彼がこの勝を辞退したのは、これが2度目のことだ。

「候補に名前が上がっただけでも、非常に名誉なこと」とスズキは言う。「でも、僕はまだ若い。この賞を貰うにはまだまだ早すぎると思っている。(キャリアの今の段階で貰ってしまったら、)今後のモチベーションにも影響が出てしまうかもしれないしね。引退後、まだこの賞に相応しいと思ってもらえるのなら、その時には有り難く受けようと思っている。」

彼には、野球でやるべきことがまだまだ沢山残っているのである。ということは、ゴルフコースの木々は安泰だが、投手達の方はまだまだ当分は安心できない…ということになる。

                 (以上)(^^)

[33045] マリナーズ・キャンプ情報(2/23) 投稿者:ウィンディー 投稿日:2005/02/23(Wed) 08:04
おはようございます!朝のNHKの映像・音声は残念ながら見逃してしまいました〜。(~_~;)

            *******************************      
     
       アンコールに応えて次にイチローがやってくれることは…?
          ― ジム・ストリート、MLB.com、2/22 ―
http://seattle.mariners.mlb.com/NASApp/mlb/sea/news/sea_news.jsp?ymd=20050222&content_id=948304&vkey=spt2005news&fext=.jsp


メジャーで最も打率4割を達成する可能性の高い選手が、もしかするとそれはやらないほうがいいのかもしれない…と言う。

故テッド・ウィリアムスが打率.406を記録してア・リーグ首位打者になってから既に64年もの歳月が過ぎ去った。それ以来、何人かの選手達が4割に挑戦してはきたが、今のところ全員が失敗している。

4割に最も近づいたのはトニー・グィンで、ストライキによって短縮された1994年シーズンに打率.394を記録している。

そして今、次の4割打者になる可能性の最も高い選手は、シーズン最多安打記録保持者のイチロー・スズキである。

「僕は、ファンの人たちが、あいつなら出来そうだと思ってくれるような選手でいたいと思っている」とイチローは火曜日に語った。「…その一方で、誰も達成しない方が、実はファンの人たちにとってはいいのかもしれないと思ったもりしている。『4割を打つことは可能か?』という疑問がいつまでも残っていた方が、楽しいんじゃないか、ってね。僕自身ができるかどうかはわからないが、もし実際に誰かが達成してしまったら、ファンにとっては(楽しみが減ってしまって)良くないかもしれない。」

昨シーズンのイチローは、後に殿堂入りしたジョージ・シスラー1塁手が84年前の1920年に打ち立てた最多安打記録より5本も多い262本の安打を叩き出した。また、デビューの年から4年連続で200本安打以上打ったメジャー史上初の選手にもなった。

誰もが更新は不可能だと思っていた記録を破った日から5ヶ月あまりたったこの火曜の朝、イチローは野球活動を再開してピオリア・スポーツ総合施設での初日全体練習に参加した。走ったり、打撃練習をしたり、フライボールを捕球したりする合間に、イチローは日本及びアメリカメディアとの会見にも応じてそこで繰り出された様々な質問に答えた。

通訳を通してイチローが語ったのは:日本へ帰って新記録達成のビデオをテレビ等で観た時に感じた不思議な感覚について、オフの間のチームの補強についてとそれが自分自身の今季のパフォーマンスにどのようないい影響を及ぼすと思うかについて、また、チームが昨シーズン99敗もしたにも拘わらず、球場まで足を運んで応援してくれた延べ290万人ものファンに報いるためにもチームがいい成績を収めることがいかに大切であるかについて…などである。

「昨年よりはいいチームをファンの人たちに見せられたらいいと思っている」と彼は言う。

個人的なシーズン目標を定めるにはまだ早すぎるとするイチローではあるが、2005年度の目標としてAL最多得点記録を狙うのも悪くはない。

1900年以降の記録としては、1921年にヤンキースのベーブ・ルースが記録した177得点が最多である。

マリナーズの球団記録は、1966年にアレックス・ロドリゲスが記録した146得点だ。

「僕の役目は得点することなので、僕の得点が増えるということはチームにとってもいいことだ」とイチローは言う。「今年は、もっと早い時期に100得点に達したいと思っている…昨年よりはずっと早くね。」

昨年のイチローは、ヒット・四球・死球で計325回出塁したものの、わずか101得点しか記録していない。

「今年は、チーム全体としても、もっと多くの得点を上げられると思う」と彼は言う。

エイドリアン・ベルトレとリッチー・セクソンが加入したことで、イチローにとっては得点の自己ベスト記録(2001年の127得点)の更新が可能になっただけでなく、ロドリゲスがいまだに持っているマリナーズ球団記録にも迫れる可能性が出てきた。

昨年のイチローは、ロドリゲスが持っていた2つの球団記録を塗り替えた(打率の「.352」を「.372」に、打席数の「748」を「762」に)が、ロドリゲスにはまだシーズン2塁打数記録「54本」というのが残っている。

しかし、マリナーズ移籍5年目のキャンプ初日にイチローが最も気にしていたのは、シーズン中の記録更新の可能性などではなく、シーズン開幕にむけての準備についてだった。

さらには、昨シーズンの最多安打記録達成を振り返ってみることも―。

「あの瞬間が、僕にとっての最も素晴らしい瞬間だった」と10月1日のセーフコー・フィールドでのレンジャース戦の3回にライアン・ドリース投手からヒットを打った瞬間を指して彼は言う。「日本へ帰ったら、色んな人から祝福されたし、あの試合のハイライトも何回かテレビで観た。そうやって観てみると改めて緊張したりして、とても不思議な感覚を味わった。まるで、誰か他の人がやっているのを観ているような気分だった。」

あの快挙を上回るのは非常に難しいとしながらも、自己改善の余地はまだまだ残っているともイチローは言う。

「僕は、自分のことをミスの多い選手だと思っているし、そういうミスは結果として沢山のアウトにも繋がってしまっている」と彼は言う。「今後は、そういうミスを少しでも減らしていきたい。」

「昨年のミスの数は、それまでの年よりは少なかったと思う。でも、今年は打席でのミスの数をもっともっと減らしたい。それさえ出来れば、もっと多くのヒットともっと高い打率が得られるはずだからだ。」

新打撃コーチのドン・ベイラーは、基本的には名人のすることを黙って見ているつもりだという。

「『私のほうが、君から何か学べるかもしれないよ』って彼にも昨日言ったんだ」とベイラーは言う。「私は、彼のことは何もいじらないつもりだ。準備の仕方は、彼自身が一番良く知っているはずだからね。」

「彼なら、あと1週間か10日もあれば開幕の準備は出来てしまうだろう。そのあと彼を飽きさせないようにするにはどうすればいいかを考えるのが、我々の仕事になりそうだ。」

マイク・ハーグローブ監督も、今季のイチローが別のMLB記録に挑戦したり、さらには破ったりしても驚きはしないと言う。

「彼があれだけの高いレベルのパフォーマンスをずっと維持してきたことは、実に驚くべきことだ」と彼は言う。「決して1度だけのまぐれではなく、毎年毎年よくなっていくように見えるところが凄い。本当にいい選手というのは、そういうものだ。明らかに、彼は自分が過去に成し遂げたことに満足はしていなくて、もっと向上したいと思っている。彼がプロとしての自分にそれだけの誇りを持ち続けているということは、賞賛に値する。彼のような選手は、私は今まで見たことがない。イチローはまさに全てを兼ね備えた選手なので、私としては何も変えるつもりはない―『壊れていないものは直すな(If it isn't broken ,don't fix it)』っていう言い回しもあるぐらいだからね…。彼が味方の選手で、本当に良かったよ。」
                             
                                 (以上)(^^)

[32990] バッテリー陣のキャンプ初日練習♪ 投稿者:ウィンディー 投稿日:2005/02/18(Fri) 13:52
シアトルタイムスに、初練習に臨む監督の様子についての短いAP記事が載りましたので、ご紹介しますネ。さすがにベテランだけあって、なかなか老獪な監督みたいです〜。^^;

            ************************

      春期キャンプ開始;ハーグローブが正式に初指揮をとる
http://seattletimes.nwsource.com/html/mariners/2002182976_webmari17.html


シアトル・マリナーズの新監督として初めてグラウンドに立ったマイク・ハーグローブは、練習メニューにいくつかの小さな変更を加えてみたが、今日が初対面だったバッテリー陣からの反応は非常に好意的なものが多かった。

「また昔のように緊張しているが、とてもいい緊張感だ」とハーグローブは言う。「心臓の鼓動も、先週の今頃よりは少しばかり速くなっている気がするが、これもいい兆候だと思う。」

彼の唯一の不満は、新しいキャップだ。

「窮屈だったらありゃしない」と新監督は言う。「こんなキャップをデザインしたヤツは、八つ裂きにされて然るべきだよ。(笑)…でも、このシアトル・カラーはいいね。その点は凄く気に入っている。」

メジャー監督歴13年のこのベテラン監督は、今年のマリナーズの練習グラウンドをクラブハウスから一番遠い場所に移した。昨年までのピネラ及びメルビン両監督の時代には、主にマイナーリーガーたちが使っていたグラウンドだ。(注:この変更の狙いは、選手達がさぼれないようにすること。クラブハウスに近いグラウンドを使っていた昨年までは、ちょっと汗をかくとコッソリとクラブハウスに戻って涼んでしまう選手達が結構いたんだそうです〜。^^;)

さらには、練習時間の開始も1時間早くなり、午前9時開始になった。

「『自分流のやりかたをはっきり確立しなくちゃいけない』と皆よく言うが、そういうことはさりげなくやることも可能なんだよね…」と彼は言う。

外部者をシャットアウトして行われた今キャンプ初の30分間のミィーティングでは、ハーグローブも選手達に一言話したという。

ハーグローブ本人は詳細をメディアに語ることは拒否したものの(「…簡単に言えば、私が彼らに要求したことは、集合時間を厳守することと、プロらしく一生懸命やることだけだ」)、彼の方針は選手達からは歓迎されたようだった。

「監督がやるって言っていたやりかたは、僕は好きだな」とライアン・フランクリンは言う。「ガンとした態度で臨むって言ってた。グランドに出たら、やることをきっちりやれって。ちゃんとやってないと思ったら、黙ってはいないからって。」

メジャーでの最初の10年間をミネソタ・ツインズで過ごしたエディー・グァルダードは、そこでの最初の監督だったトム・ケリーのやりかたによく似ていると思ったそうだ。

「なんだか昔に戻ったみたいだ」とグァルダードは言う。「ハーグローブ監督は、『私はこういう人間だし、やりかたは、これこれこうだ』ってはっきり言ったんだ。凄く良かったよ。TK(トム・ケリー監督のこと)のことを思い出しちまったよ。我々は勝つためにここにいるんだ、ってね。」

投手達は、一つの練習地点から次の練習地点へ、守備練習からブルペンでの投球練習へと、絶えず移動しながら切れ目なく練習を続けていた。締めくくりには、外野フェンス沿いに片方のファールラインからもう片方のファールラインまで走るランニングを数回行った。

「こうやってグループ分けしてやるほうが、より多くの練習量をこなすことができる」とフランクリンは言う。「この方が一日が速く過ぎていく感じで僕は好きだけど、キツイことはキツイね。ダラダラ待っている時間なんて、ほとんどないんだから。」  
                       (以上)(^^)

[32979] オリーボ捕手の記事 投稿者:ウィンディー 投稿日:2005/02/17(Thu) 15:31
マリナーズのバッテリー陣もいよいよ今日キャンプインし(野手は来週)、待ちに待った2005年度シーズンへのスタートが切られました!これからしばらくの間は、新監督・新コーチ陣及び選手達の近況や意気込みを伝える記事が次々に出ることと思うので、面白いものがあったらなるべくお伝えするようにしていきたいと思っています。(^^)

…ということで、まずは、下のスレッドでなかなかさんも紹介してくださっている、オリーボ捕手に関する嬉しい記事をお届けすることにします。正捕手として期待されて移籍してきたものの、パスボールは異常に多いわ打撃は振るわないわで、「…これはひょっとして、ベン・デービスの二の舞か…?(ーー;)」とファンを不安に陥れたオリーボ捕手でしたが、この記事を読めば、誰もが再び期待に胸を膨らませること請け合いですっ♪ どうか、ハンセン氏の予言どおりになりますように…!(-人-)


          ******************************

         オリーボ、捕球術に磨きを掛ける
    ― カービー・アーノルド、ザ・オリンピアン、2/15 ―
http://www.theolympian.com/home/news/20050215/sportssection/88600.shtml


自分はメジャーリーグキャッチャーとしての資質を全て備えている、とミゲル・オリーボは思っていた―強肩、スピード、敏捷さ、そしてこのレベルで充分やっていけるという自信。

だが、彼はロジャー・ハンセンと出遭った。

「ほとんどの若い子がそうであるように、彼も非常な自信家だった。」とマリナーズの捕手コーチであるハンセンは言う。「『自分には何も悪い点はない、全てOKだ』と彼らは思っているんだ。でも、私がそこに割って入っていって、『いや、全然OKじゃない―今すぐにでも正しいやり方を覚えなくちゃダメだ』と言ってやるのさ。」

こうやって、今季の正捕手として期待されているオリーボのオフシーズン・トレーニングは始まった。彼とハンセンは、10月中の1週間はピオリアの教育リーグキャンプで過ごし、この1ヶ月ばかりは、ほぼ毎朝セーフコーフィールドで落ち合っては、何時間でも必要なだけ練習に励んだ。

フレディー・ガルシアとベン・デービスとの交換トレードで昨シーズン半ばにシカゴ・ホワイトソックスからやってきたオリーボだが、マリナーズに来てから先発出場した43試合の中で、その豊かな才能の片鱗を覗かせることは時折あったものの、むしろその弱点の方が遥かに大きくクローズアップされる結果に終わってしまっていた。

拙い技術にマリナーズ投手陣に関する知識不足も加わって、13個ものパスボールを記録。ホームプレート手前でワンバウンドする球の捕球に苦労し、捕れて当然の球まで後逸したりで、全体的に非常に不安定な様子だった。

少なくとも、ハンセンが最初にオリーボを見た時の印象はそうだった。

「捕球の際の構えにしても、キチンと固まったものがなくて、毎回違っていた」とハンセンは言う。「常にフラフラしている感じだった。」

1996年には1Aエバレット・アクアソックスの監督でもあったハンセンは、長年マリナーズ組織内の捕手コーチを務めてきており、若い有望な選手達を徹底的に鍛えなおしては一人前の捕手に仕立てるのを得意にしてきた。マリナーズの1994年度ドラフト一巡目指名選手だったジェイソン・バリテクも、彼のそういった愛弟子の一人だ。

「ミゲルとジェイソンは、よく似たところがある」とハンセンは言う。「ジェイソンもドラフト当時には“大物”と騒がれたが、そのうちに彼の能力に疑問を抱くものが増えてきた。ルー(ピネラ監督)なんかも、バリテクにはメジャーの捕手なんか絶対務まらないとよく言っていたものだ。」

その後、バリテクはボストン・レッドソックスの成功の鍵を握る中心選手にまで育ったわけだが、ハンセンはオリーボにも似たような将来を予言する。

「彼には、球界随一の捕手の1人になれる素質が間違いなくある」とハンセンは言う。「ただ、そうなるには時間がかかるんだ。」

ここ数週間、多くの時間と汗と痣と努力とハンセンの途絶えることのない叱咤激励が、オリーボの様々な小さな欠点を矯正するために費やされてきた。

「そりゃあ、大変な作業だよ」とオリーボは言う。「でも、ロジャーとの練習は、凄く楽しい。2人で一生懸命やってきたし、僕はその成果に満足している。」

まあ、ハンセンの手に掛かっては、誰であれ一生懸命やるしかないのだ。訓練のメニューは細かく決められており、その内容はどれも辛くて長い。10月には4時間ぶっ通しでグランドにいたこともあったが、ほとんどの練習は2時間を目安に行われた―ただし、ハンセンが結果に満足すればの話だが…。

「私は完璧を求める男。中途半端は一切受け付けない。」とハンセンは言う。「早朝から深夜までかかったってかまわない。きちんと出来るようになるまでは、私も彼も家には帰らないまでだ。これは、彼の一生にかかわることだからね。とにかく、長い長いプロセスが必要なんだ。いろんなことが本当に身に付くまでには、1年や2年は平気でかかる。ただし、いったん身に付きさえすれば、その後はとんでもない選手になる可能性があるんだ。」

彼が学ばなくてはならないことは、あとどれくらいあるのだろうか…?

「そりゃ、山ほどさ」とハンセンは言う。「一番肝腎なのは、捕球においてもブロッキングにおいても“バランス”だ。これはもの凄く奥の深い分野で、完璧に説明しようと思えば永遠に喋り続けなくてはならないほどだ。今のところ、走者のいない場合の構えや、走者が1塁にいてカウントがツーストライクの時の構えなんかを覚えたところだ。それぞれの場合の足の位置、尻の位値、腕の位置、頭や肩の位置…親指の位置がどうあるべきかまで教えたよ。」

捕球技術に問題のあることから、ベン・デービスとよく比べられることもあるオリーボだが、実際はデービスとは似ても似つかない選手だ。オリーボには精根尽き果てるまで練習しようとする意志がある…しかし、デービスがそういう意欲を見せることはほとんどなかった。

「肉体的にも精神的にも、とても辛い作業なので、今は毎日が闘いだ」とハンセンは言う。「でも、ミゲルは一日中でも練習することを厭わない子で、それは素晴らしい事だと思う。今までの彼には知らないことが山ほどあったし、安定感にも欠けていた。だが、今の彼は、普通のメジャーリーグ・キャッチャーになるために勉強しているのではなく、最高レベルのメジャーリーグ・キャッチャーになるために学んでいるんだ。そして、彼にはそういう最高の捕手になれる可能性があると私は思っている。」

セーフコーフィールドでの冬の特訓は先週の木曜日にひとまず終了したが、2人の訓練は、マリナーズのバッテリー陣が春期キャンプのために集合するアリゾナ州ピオリアで再開されることになっている。最初の練習日は今週の木曜日だ。

ハンセンによれば、オリーボは充分に準備が出来ているという。

「(セーフコーでの特訓の)最後の数日間は、最高だった」と彼は言う。「もう、試合形式で試して、コンスタントに出来るようにもっていく段階に入っていると思う。」

                         (以上)(^^)

[32907へのレス] Re: イチローの肩はメジャ... 投稿者:ウィンディー 投稿日:2005/02/05(Sat) 10:44
おはようございます。(^^) ESPNの『Practice Makes Perfect(習うより慣れろ)』という記事ですね。「メジャーの外野手の中で、一番強くて正確なスローイングをするのはイチローで、肩は強くないものの、捕球してから送球までの一連の動作が一番早いのはヒデキ・マツイだ。2つのカテゴリーともに日本人がトップに来たのは、決して偶然の産物ではない。メジャーが近年基本的な守備練習をないがしろにしてきた一方で、日本球界がそういった地道な練習を変わることなく大切にし続けてきた結果なのだ。」というのが記事の趣旨になっています。多分、今日中にはラフな翻訳をアップできると思います…。(^^)

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・・・ちなみに、ESPNのオフ企画『球界No1シリーズ』のフル・ラインアップは、以下のようになっています:

1/12  最もバントの上手い打者: フアン・ピエール
1/13  最も打席で粘る打者: バリー・ボンズ
1/17  最もヒット・アンド・ランの上手い選手:  マーク・ロレッタ
1/18  ツーストライクになってから最も怖い打者: ボンズとイチロー(記事#32735で紹介済み)
1/19  最も走塁の上手い選手: デレク・ジーター
1/20  最もエキサイティングな走塁をする選手: トリー・ハンター
1/21  最も盗塁の上手い選手: フアン・ピエール
1/24  最もダブル・プレー崩しが上手い選手: スコット・ローレン
1/25  最もコントロールのいい投手: ブラッド・ラドキー
1/26  最も耐久力のある投手: リバン・ヘルナンデス
1/27  最もスライド・ステップの上手い投手: バートロ・コロン
1/28  最も牽制の上手い投手:ブライアン・アンダーソン
2/1   最も打撃力のある投手: ジェイソン・ジェニングス
2/2   最も打者を威嚇するのが上手い投手: ペドロ・マルチネス
2/3   最も肩の強い外野手: ヴラディミール・ゲレーロ
2/4   最も肩の正確な外野手: イチロー
-------(今後、掲載予定)
2/7   最も壁際捕球の上手い外野手
2/8   最も肩のいい内野手
2/9   最も優れた二遊間コンビ
2/10  最もリレープレーの上手い内野手
2/11  最も守備の上手い1塁手
2/14  最もホームを死守するのが上手い捕手
2/15  最も投球の組み立てが上手い捕手
2/16  最も試合の采配が上手い監督
2/17  最も優れた3塁コーチ
2/18  最も優れたクラブハウス内の“悪戯魔”/“道化師”^^;
2/21  最も優れたチームリーダー
http://sports.espn.go.com/mlb/feature/story?page=hotstove/index


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        習うより慣れろ(Practice Makes Perfect)
    ― バスター・オルニー、ESPNマガジン、2/4 ―
http://sports.espn.go.com/mlb/columns/story?columnist=olney_buster&id=1982564


その昔は、どんな球場でも試合前には必ずそれが行われ、スカウトたちは、それを見るのを主な仕事にしていたものだった。全てのチームのコーチ達は、一連の作業がスムーズに進むように、最初の1球が投げられる45分前にはクラブハウス内を歩き回って、選手達の用意が整っているかどうかを確認した。

それは、球界では「Taking Infield」(シートノック)という名で呼ばれる守備練習形態で、ホーム近辺に立ったコーチが、投手以外の全てのポジションの野手に向かってゴロやフライを10分間打ち続けるのだ。内野手の場合は、打球を捕球しながら素早く移動して自分の塁をカバーし、滑らかな動作で矢のような送球を内野手仲間に回す。外野手の場合は、フライやゴロを捕球したら、直ちに1塁以外の全ての塁に送球するのが決まりだ。スカウト達が最も楽しみにしているのは、この外野からの返球を見ることで、それによってどの外野手が最も正確な肩の持ち主か、誰の送球技術が最も優れているかを見極めるのだ。

一部のスカウトや球団役員たちの間の一致した意見では、マリナーズのイチロー・スズキ右翼手が現在のメジャーでは最も正確な肩の持ち主であり、ヤンキースのヒデキ・マツイ左翼手が最も送球に移る動作が速い…ということだ。そして、プロ生活のほとんどを日本で過ごしてきたこの2人の選手がそれらの技術に抜きん出ているという事実は、単なる偶然ではないと思われる。彼らは、間違いなく、より多くの外野からの返球練習をこなしてきているのだ。

現在のメジャーの外野手たちは、試合前にウォームアップとして選手同士で軽くキャッチボールをしたあとに、1塁側或いは3塁側のファールライン上に立ったコーチが打つゴロやフライボールを捕球する練習はする。しかし、実戦での状況を想定した外野から各塁への返球練習は、普通はしない。そして、一般的に言って、シートノックを行っていた昔に比べると、今の外野手たちはあまり投げなくなったように思える…というのがスカウトたちの意見だ。

理由ははっきりしないものの、この10年の間に試合前のシートノックは、ほぼ絶滅状態になってしまった。現在、日本の千葉ロッテ・マリーンズで監督を務めている元メッツ監督及び元レンジャース監督のボビー・バレンタインがEメールで答えてくれたところでは、「(ノック練習がなくなったのは)チーム内不和に一役買っていたからではないか―」とのことだ。「若い選手達は毎日ノックを受けなくてはならなかったのに、スパースター達は誰もやらなかったからね 。」

しかし、日本では、選手全員がそれぞれのポジションで毎日返球練習を行う。「ここでは、毎日、シートノックがある」とバレンタインは書く。メッツとブレーブスでプレーした経験があり、後に日本でバレンタインのもとでプレーしたマット・フランコもその違いに気づき、バレンタインにこう告げたという:「ブレーブスで2年間プレーしたけど、シートノックなんて、ただの一度もやったことがない。」

元ヤンキースの打撃コーチで、現在は日本ハム・ファイタースのコーチを務めているゲリー・デンボーも、日本の外野手の方がより正確な送球をすると思っている。「日本のコーチや選手達は、メジャーのほとんどのチームよりも、捕球前のフットワークや送球技術により注意を払う」とデンボーはEーメールで語る。「さらに、日本のチームは毎日試合前にシートノックを行う。私が見るところ、これは細かいことを重視する主義の一環だと思う。」

そして、イチローは、的確なポジションに素早く入って両足をしっかり踏ん張ってから捕球するなど、やること全てにおいて正確そのものだ。「彼は非常に肩の強い選手」とあるNLスカウトは言う。「しかし、それ以上に尊敬に値するのは、彼の場合、どんな送球もピタッと狙い通りに投げられるということだ。2塁への送球は、必ずノーバウンドかワンバウンドで到達するし、カットマンを経由する送球も狙いどおりの場所に届く。」

「外野のどの位置から投げているかなんて、彼の場合は全く関係ない―塀際からだろうが、ファールライン際からだろうが、外野の深いところからだろうが関係ないんだ。ヴラッド(ゲレーロ)のように、もっと肩の強い選手はいることはいるけど、そういう選手の投げる球は、大きく的を外れることが時々ある。でも、イチローにはそういうことはない。私に言わせれば、彼とラリー・ウオーカーの2人が、最も正確な肩の持ち主だと思う。」

マツイは決して肩の強い選手ではないし、走者も彼を恐れたりはしない。しかし、彼の送球動作の素早さが、走者及び1塁コーチ、3塁コーチ達の走塁判断に影響を及ぼすことはある。捕球後にグラブから利き手に素早くボールを移して投げるまでの一連の動作が、実に滑らかで速いのだ。これも、日本球界で磨かれた技術である。

「コンスタントな練習によって、グラブからより素早くボールを利き手に移せるようになるんだ」とバレンタインはE−メールで語る。

平凡な肩のせいで何万分の1秒かを損していたとしても、カットマンへの素早い送球がその分をカバーしているのだ。2003年5月14日のヤンキースタジアムの試合では、マツイとデレク・ジーターの連携スローが、外野フライで3塁からタッチアップしたアナハイムのスコット・スピージオを、もう少しでホームで刺すところまでいった。ヤンキースのジョー・トーリ監督は、そんなプレーはそれまで一度も見たことがないと当時語ったものだ。

「練習では、ボールをより早く掴み、体のバランスを保ちながら助走の勢いをそのままボールに乗せる練習をする。動きながらもバランスを崩すことなく正しい送球方向を維持できれば、送球はより正確になるし、エネルギーの移行もスムースに行われるんだ。」と、バレンタインはE−メールの中で説明する。

これらは、今のメジャーリーガーたちが昔ほどには練習しなくなってしまった技術なのである。

                     (以上)(^^)

[32900] 今更ですが…メルビン監督の記事 投稿者:ウィンディー 投稿日:2005/02/04(Fri) 16:54
新しいシーズンに向けて新しいチーム編成で心ウキウキと臨もうとしている今、何もわざわざ苦い想い出を掘り返さなくてもいいじゃないか…(ーーメ)と思われる方もいらっしゃるだろうとは思いましたが、監督としての力量はともかく、メルビン監督のひととなりが好きだったものとしては(…といっても、限られた情報から掬い取れる範囲のものでしかありませんが^^;)、どうしても気になる記事だったもので…。どうか悪しからず…。m(__)m


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         メルビン、D−バックスで自分らしさを取り戻す
         ― ジム・ムーア、シアトルポスト、2/1 ―
  http://seattlepi.nwsource.com/baseball/210123_moore01.html


今、ボブ・メルビンは、やっとリラックスして自分らしく振舞う事が出来ている。シアトルにいる間の彼は、最後までそうすることができなかった。

マリナーズでの彼の立場―それは、63勝99敗シーズンのスケープゴート。

1人で罪を被る羽目になったこの男と、私はバンクワン・ボールパークで会うことができた。アリゾナ・ダイアモンドバックスの新監督として、彼は昨季51勝111敗に終わったチームを再生させる役目を課せられている。それは、彼がセーフコーフイールドで背負わされていた役目よりは遥かに軽い。

ここは、いわばメルビンのホームだ。周りにいるのは、ワールドシリーズチャンピオン・チームでベンチコーチを務めていた頃からの顔見知りばかり。もう背伸びをして自分以上のものになろうとする必要はないのだ。

「向こう(シアトル)にいる間は、ありのままの自分ではいられなかった」と彼は言う。「私が引き継いだのは、大きな成功を収めてきたチーム。それが正しかったのか間違っていたのかはわからないが、私は選手達の自主性に任せる道を選んだ。自分自身の哲学や個性をチームに印象付ける事は、多分出来ていなかったと思う。でも、いったん、ひとつの方針を選んだからには、途中から変えるようなことはしたくはなかった…そんなことをすれば、まるでパニックに陥っているように見えただろうから。」

「100%チームに馴染んでリラックスするということは、とうとう最後までなかった。それは、他の誰のせいでもなく、全て自分自身のせいだったんだけどね…。自分がどう振舞うべきなのか、いつも休むことなく考えていた。」

彼は“ボブ・メルビン”という1人の人間だったのに、誰もが彼に“ルー・ピネラ”である事を求めた。落ち目の選手ばかりを与え、さらにはその選手たちの失敗の責任を彼一人に押し付けてクビにしたマリナーズ球団―。私は彼をけしかけて、そういう球団に対する憤懣をぶちまけさせようと試みた。もし、私が彼の立場だったら、もう二度と再び後戻りできないほどに、徹底的に罵るだろうと思ったからだ。しかし、メルビンはそうはしなかった。

「普通は全て監督のせいにするものなんだろうが、球団は何一つ私のせいにはしなかった。」と彼は言う。「ああいうシーズンのあとには、ある程度の変革は仕方のないことだ。」

そこで、私は彼にこう尋ねてみた:「あなたがいなくなった後にようやくパワーヒッターを補強したことに対して、あなたは腹が立たないのか?『今頃になって補強しやがって!』と思う事はないのか―?」と。しかし、彼はそんな私の思惑には乗ってこなかった。

「『なぜ自分の時には何もしてくれなかったんだ?』とは、私は思わない」とメルビンは言う。「確かに、球団が動くまでには何年もかかった。でも、彼等もやっとその必要性に気づいたんだ。昨年のことがなくては、球団は多分動かなかったと思う。」

球団は、リッチー・セクソンとエイドリアン・ベルトレをマイク・ハーグローブに与えた。メルビンが与えられたのは、リッチ・オーリリアとスコット・スピージオだった。

「我々が本当に必要としていたのは、(ミゲル)テハダだったんだけどね…」とメルビンは言う。

マリナーズについて語るとき、彼の使う代名詞は「we(我々)」と「they(彼ら)」の間を絶えず行ったり来たりした。傍からはそうは見えなかったかもしれないが、メルビンはピネラに負けないほどマリナーズのことを大切に思っていたのである。

「監督業は非常に消耗するので、どこかで解放されないとやっていけない」と彼は言う。「私の場合、正午には球場に入って、出るのは毎晩夜中の零時だった。解放される時間など全くなかったので、どんどん追い詰められた気分になっていった。」

彼を良く思わないファンもいるのだろうが、そのうち、必ず彼に感謝する日が来るはずだ。昨シーズン直前に、マリナーズはもう少しで何の見返りもなくフレディー・ガルシアを解雇するところだったからだ。

当時、ガルシアを擁護したのは、チャック・アームストロング球団社長とメルビンのたった2人だけだった。

「私は、当時の球団の総意に逆らった」とメルビンは言う。「ガルシアは、我々にとって必要な存在だと私は感じていた。不振の年の翌年ということで、必ず奮起するはずだと思ったんだ。前年以上の努力が不可欠だったが、彼は期待通りにやってくれた。彼は、昨年、最も一生懸命やった選手の一人だったと思う。」

結果的にガルシアはシーズン半ばでトレードされたわけだが、私がここで強調したいのは、お陰でマリナーズはガルシア放出の見返りをしっかりと獲得できた…という事実だ。ガルシアとのトレードでやってきたジェレミー・リード中堅手とミゲル・オリーボ捕手は、2人とも将来有望なスタメン候補である

今季のマリナーズを見て、きっといいシーズンになるだろうとメルビンは予想する。ただ、セクソンに関してだけは、「彼ら」のチームではなく、自分のチームにいて欲しかったと思っている。

「彼なら、どんな“パーク”でも柵越えが可能だからね―イエローストーンだろうとどこだろうと。」(注:球場も公園も同じ“パーク”なので、米国最大のイエローストーン国立公園を引き合いに出してセクソン投手の長打力を大袈裟に称賛している…^^;)

しかし、セクソンの肩の状態を心配したダイアモンドバックスは、一定数以上の試合を無事にプレーしなくては翌年以降が有効にならない形式の複数年契約をオファーした。一方、マリナーズの契約には、そういう条件は一切ついていない。

「彼の故障が再発する可能性は10%あるということだったが、逆に言えば、再発しない可能性は90%だったことになる」とメルビンは言う。「球団としては、1年目を無事に通過しさえすれば、あとは大丈夫だろうと踏んだんだと思う。」

メルビンがダイアモンドバックスの監督に決まるまでには、かなりの紆余曲折があった。―だが、考えてみれば、彼がシアトルに決まった時にも似たような経緯があったのだ。当時、彼はカブスの監督職の有力候補に上がっており、カブス経営陣から「実は、これからダスティー(ベーカー)とも面接することになっているんだが、ダスティーがサンフランシスコに残ることになった場合は、君に来てもらいたいと思っている」と言われたという。

メルビン曰く、「だから私としては、『どうか、ダスティーがシアトルに決まりますように―』って思ってた。」

しかし、マリナーズがベーカーを面接に呼ぶことはなく、ベーカーはカブスに決まってしまった。

シアトルから解雇された翌日、メルビンはブライアン・プライス投手コーチとともに自宅のあるフェニックスに飛んだ。そして、次の日の朝には、ダイアモンドバックスのジョー・ガラジオラGMから電話が掛かって来た。

最初の面接では最高の感触を得たメルビンだったが、2回目のあとには漠然とした不安を感じたという。それから間もなくして、ガラジオラからの電話でウォーリー・バックマンに負けたことを知らされた。

「電話を切って、ああ、これでまた振り出しに戻ったんだな…と思った」とメルビンは言う。

その後、バックマンには家庭内暴力で逮捕された前科以外にも色々な問題が過去にあったことがマスコミによって暴かれた。すると、ダイアモンドバックスは直ちにバックマンを“解雇”して、メルビンを“世界一幸せなピンチヒッター”に指名したのである。

「早く仕事を始めたくて、うずうずしている」とメルビンは言う。「もう、どういう人間にならなくちゃいけないとか考えなくてもいい、ここのほうが自分らしくいられるんだ。シアトルでは誰も知った人間がいなかったけど、ここには知り合いがたくさんいる。新しい場所では、絶えず周りに認めてもらえるように気を張っていなくてはならないが、ここではもうその段階は済んでいる。私がどういう人間なのかということは、もう誰もが知ってくれている。だから、何も気にせずに自分のやり方で自由にやれるんだ。」

今季のメルビンは、新加入のFA選手達―トロイ・グロース、ラス・オルティース、ショーン・エステス、クレグ・カウンセル、ロイス・クレイトン―や、ショーン・グリーン、そしてランディー・ジョンソンとのトレードでNYYから獲得したハビエア・バスケスを中心にチームを立て直すことになる。

ジョンソンに残留するように働きかけたのかどうか訊かれたメルビンは、次のように答えた:「彼には、来年以降残る気は全くなかった。ランディーと私の関係は、ずっと良好だったよ。私はただ、成り行きに任せたほうがいいいと思ったんだ。」

メルビンは、フェニックスの北にあるケーブ・クリークに住んでおり、デザート・マウンテン・ゴルフクラブの会員でもある。最近、マウンテンバイクで転んで手首を痛めたそうだが、明日(記事ママ)のフェニックス・オープンのプロアマ・トーナメントには予定通り出場するつもりだという。

既に完全にダイアモンドバックスの人間になりきっているメルビンではあるが、新監督室には、マリナーズ時代からの写真を2枚だけ掲げるつもりでいる。1枚は、プライスと並んで写っているもの。そしてもう1枚は、イチロー、ブレット・ブーン、エドガー・マルチネス、ラウル・イバニエス、ジョン・オルルッド、ランディー・ウィンと一緒に写っているものだ。

「あの球場も、ファンの人たちも、町も、そして選手達のことも、みんなとても懐かしい。彼らのことは、これからもずっと応援していく」とメルビンは言う。「シアトルでの日々は楽しかった。理由はともあれ、自分はいるべくして2年間あそこにいたんだと、今、私は思っている。」

                               (以上)

[32804] マリナーズもついにセーバーメトリックスを導入? 投稿者:ウィンディー 投稿日:2005/01/24(Mon) 17:40
まだマリナーズから正式な発表はありませんが、地元紙の一つ(…といっても、隣のオレゴン州になりますが^^;)、ザ・オレゴニアンによれば、マリナーズもついにセーバーメトリックスの専門家を雇うことになったようです。地元有名ブログUSSMarinerでもこの話題を取り上げていますが、地元ベースボール通の間では、この人選はなかなか好評なようです…。(^^)↓
http://ussmariner.com/index.php?p=2217

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         マリナーズ、スタッツの“名手”を雇う
      ― ジョン・ハント、ザ・オレゴニアン、1/21 ―
http://www.oregonlive.com/mariners/oregonian/index.ssf?/
base/sports/1106312432108260.xml


マリナーズは、ビル・バベージGM付きの「選手獲得担当コンサルタント」として、マット・オルキンを雇った。

「仕事の内容はセーバーメトリックスであって、役職名ほど仰々しいものじゃない」とオルキンは言う。

“セーバーメトリックス(Sabermetrics)”とは、「Society for American Baseball Research(全米野球研究協会)」から来た言葉で、“野球スタッツの分析”を意味する。オルキンの役割は、バベージがロスター関連の決定をする際に、スタッツ分析に基づいたアドバイスを提供する事だ。

「ビルが下す決定は全て彼自身のものであって、成功も失敗も全て彼の責任となる。」とオルキンは言う。「私がすることと言えば、彼に情報と一つの意見を与えて、より多くの知識に基づいた判断を下せるようにするだけなんだ。」

バベージからコメントを取ることはできなかったが、オルキンの雇用については確認が取れた。

現在、メジャーリーグでは、野球スタッツ分析の専門家を雇ってそのアドバイスを請うことがはやっているが、マリナーズもその流れに乗った形だ。この分野でのパイオニアは、1940年代のブルックリン・ドジャースのアラン・ロスだ。クレグ・ライトは、1980年代のテキサス・レンジャース所属時代に「The Diamond Appraised」という本を書いて有名になった。また、2002年シーズン後には、ボストン・レッドソックスが「Baseball Abstract」のカリスマ的存在であったビル・ジェームスを雇って球界に大きなインパクトを与えた。

最近は、他の球団も続々とスタッツ専門家を雇い始めている。トロント・ブルージェイズのキース・ロー、セントルイス・カージナルスのロン・シャンドラーなどがそうだ。

最近のこうした流れとスタッツを重視する「マネーボール」的アプローチの人気により、野球界では“スカウトvsスタッツ論争”(注:経験豊富なスカウトの目か、あるいはスタッツ分析か…どちらのアプローチの方がより正確に選手の将来性を査定する事ができるか、という論争)が活発になってきている。

2003年にマリナーズのGMに就任して同地区のビリー・ビーンGMとライバル同士となったバベージは、この2つのアプローチを同時に採用することを選んだ1人だ。そして、昨シーズンのレッドソックス及びカージナルスの成功は、スタッツ重視の流れに勢いを与えている。

「色んな考え方を寄せ合った方が、たった1つの考え方に固執するよりいい結果が出る」とオルキンは言う。彼はジェームスやライトとも親しく、「Baseball Prospectus」に貢献しているだけでなく、「Bill James Baseball Abstract」やSTATS,Inc.の多数の発行物にも関わっている。「そういう優秀な連中が何を言っているのかを知るだけでも有益だし、そういったさまざまな知識を具体的な事例に応用できる人間がいることは、球団にとってはアドバンテージになる。」

オルキンによれば、先日のベルトレとの契約に至る過程では、ベルトレに関するポジティブな情報を可能な限りバベージに提供したという。ベルトレの5年総額6400万ドルの契約は、バベージがマリナーズのGMとして今まで手がけた契約の中では文句ナシに最高のものだろう…というのがスタッツ専門家の間での評価だ。

オルキン曰く、「彼(ベルトレ)は、メジャー史上でも最も若いフリーエージェントの1人に入るので、球団が契約する事が可能だった他のどんなFA選手より、長い期間ピークを維持してくれる事が期待できる。」(以上)

[32758へのレス] Re: イチローは名右翼手 ... 投稿者:ウィンディー 投稿日:2005/01/21(Fri) 23:42
コーシンさん、こんばんは。メッツ首脳陣との会談後、「なんとか努力はしてみる」と一応は妥協したキャメロン選手ですが、本心では余り納得していないようにNY地元記者達には見えたようですし(電話記者会見だったらしいので、“聞こえた”ですネ)、ミナヤGMにしても、なにかすっきりしない発言が多かったみたいです…。(-_-;) キャメロン選手のためには、この際、中堅手として思いっきり活躍できるチームに移ったほうがいいとも思えますし、かといって同地区のライバルチームには来て欲しくないし…ファンとしても非常に複雑な心境ですね…。

以下は、ニュースデー紙から、そのような記事のひとつです…。

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            果たして、彼は“ライト・マン”なのか?
    (ライトへのコンバートを渋るキャメロンにとって、メッツでの将来は不透明)
       ― デイビッド・レノン、ニュースデイ記者、1/19 ―
http://www.newsday.com/sports/baseball/mets/ny-spmets194119482jan19,0,13953.story?coll=ny-mets-print


昨日、オーマー・ミナヤGMに引き連れられたメッツ首脳陣一行が、ドミニカ(注:デルガド選手を勧誘するため)に向かう途中にアトランタに立ち寄ってマイク・キャメロンと会ったが、それによって彼らが何を成し遂げようとしていたのかは、どうもはっきりしない。

新加入のカルロス・ベルトランにセンターから押し出される形になりそうなことに、中堅手として2回もゴールドグラブを獲得しているキャメロンが不満をもっている事は明らかだ。昨晩の記者たちとの電話記者会見では、双方とも務めて外交辞令的な発言に徹しようとしてはいたものの、ミナヤにしてもキャメロン本人にしても、彼の将来がフラッシング(注:メッツの球場所在地名)にあるかどうかについては、明言することはできなかった。

キャメロンを欲しがっている球団は複数あり、彼の名前はA’sのエリック・バーンズとチャッド・ブラッドフォードとの交換トレードの噂にも登場している。 昨日のミナヤは、キャメロンがトレードを要求したというのは事実ではない、と噂を否定した一方で、今後どんな事が起こっても不思議ではないが…と強調することも忘れなかった。

「トレードについて私がいつも言ってきた事を、君たちも知っているとは思うが―」とミナヤは言う。「チーム内に“アンタッチャブルな選手”(注:決してトレードされる事のない選手)などというものはいないと私は思っている。私は、『誰それのトレードは絶対無い』などと言ってしまう事がないように、今までずっと気をつけてきた。ただ、今現在言えることは、『もし今日が開幕日なら、うちの右翼手はマイク・キャメロンだ』ということだ。」

ミナヤにとって、1月18日にそれを言うのはたやすいことだ。しかし、春期キャンプが始まるまでにまだ1ヶ月もあることを思えば、キャメロンのために新しいチームを探す時間だけでなく、誰を右翼に置くべきかをじっくり考える時間もメッツには充分残されているのも事実だ。右翼には、FAのマグリオ・オルドニエスを連れてくる事もできるし、トレードでサミー・ソーサを獲得するか、あるいは球団内のエリック・バレントやビクター・ディアズで間に合わせる事もできる。メッツが今後どうするかは、カルロス・デルガド問題がどうなるかに左右される部分が大きいものと思われる。

電話記者会見でのキャメロンは、チーム方針に合わせようと一生懸命努力しているように聞こえはしたものの、もしかすると、彼をトレードすることが関係者全てにとって一番いい方法なのかもしれない。NYに来てから起こった様々な事に対して、シーズン中にも度々呆れて首を振っていたキャメロンだったが、最終的にこういう形で自分のポジションから押し出されるという屈辱に耐えるのは、なかなか難しい事のようだった。

「とにかく、訊いてみたい事がいろいろあった―」とキャメロンは昨日の会談について語る。「どうしても外に出してしまわないと収まらない様々な感情が、僕の内部で渦巻いていたんだ。非常に個人的なことさ。自分が納得するために、どうしても答えが必要だったんだ。」

個人的な感情を脇において、とりあえずは右翼に移るという実験を試してみる事を承諾した模様だ。先月、左手首の軟骨修復手術を受けたキャメロンだが、春期キャンプスタート時には、守備練習には差し支えないほどには回復しているだろうとのことだ。ただし、バットを振るまでにはもう2週間ほど余分に必要なため、開幕スタメンには間に合わない可能性もある。しかし、今の彼には、故障よりも気にかかる事が他にやまほどあるようだった。

「僕は、自分のことをずっと中堅手だと思ってきた」とキャメロンは言う。「(コンバートは、)凄く辛い。今までずっとやってきたことと違う事をやれって、突然誰かに言われたらどういう気がするものか、想像してみて欲しい。―でも、もしかしたら、右翼手としても優秀になれるかもしれない。まあ、様子を見るしかないね…。僕にも良く分からないんだ。とにかく、様子を見るしかない。」

ホセ・レイエスとカズ・マツイ、そしてマイク・ピアッツァのコンバートに関してもうまくやってのける事が出来なかったメッツだが、キャメロンに関しては違う結果が出るかもしれない。あるいは、結果が出るほど長くキャメロンはここにはいない可能性もある。


(注:タイトルの“ライト・マン(right man)”は、「正しい=適任」という意味の“ライト”と、「右=右翼」という意味の“ライト”をかけている)

[32724へのレス] Re: Villoneと再契約 投稿者:ウィンディー 投稿日:2005/01/19(Wed) 18:38
なかなかさんが紹介してくださったESPNのイチロー選手とボンズ選手の記事ですが、かなり暇ネタ的な匂い^^;のする内容ではありますが、当方も「イチロー」という活字に餓えている身なので、ボチボチとご紹介してみることにしますネ。(^^ゞ

           ****************************


        ツーストライクでも怯まないボンズとイチロー
     ― ボブ・クラピッシ、ESPN特別寄稿、1/18 ―
http://sports.espn.go.com/mlb/columns/story?columnist=klapisch_bob&id=1968867


投手に向って「この世の楽園的状況を一つ挙げてみてほしい―」と頼むと、ほとんどの投手は、「打者に対してツーストライクを取ったとき」と答えるだろう。カート・シリングは、その有利さを「まるで相手を水中に押さえ込んだような感じ」と形容する。そこまでもちこめれば、打者にとどめを刺す方法は無数にあるからだ。―ストライクゾーンをわずかに外した球で打者をからかってやるもよし、あるいはビシッと真っ向勝負で三球三振に打ち取るもよし―。

どんな作戦を取るにせよ、その根底にある考えは同じだ:スリーストライクに近づけば近づくほど、打者というのはパニックに陥る。当然の結果として、こういう一方的な勝負では、ほとんどの場合は投手が勝者となる。カウントが2−0になった場合の昨年のALの打者たちの平均打率は、.195という低いレベルに抑えられている。NLの打者の場合はもっと悪く、ツーストライク後の平均打率はわずか.187しかない。

しかし、もし相手が不利なカウントなど気にもかけない打者だった場合は、どうなるのだろうか?もし、ツーストライク後にこそ、その本領を発揮するような打者だった場合は…?

ということで、“この世の楽園的状況”のB面世界へようこそ…ということになる。そこにいるのは、カウントなど関係なしに本塁打を打ちまくるバリー・ボンズと、そのユニークなスィングゆえに2−0後の不利な状況でも持ちこたえられる能力を有するイチロー・スズキだ。

ボンズの腕力かイチローの創造的な技術か―どちらの方が相手にとって怖いかという点に関して、スカウトたちの意見は真っ二つに割れてしまった。よって、我々は、上記両名に対して、『ストーブリーグが選ぶツーストライク打撃王』のタイトルを進呈することにした。なお、昨季、2−0からの打率が.341もあったオークランドのジェイソン・ケンドールに対しても敬意を表し、彼の名前を次点としてここに挙げておくことにする。A’sのビリー・ビーンGMがケンドールをあれほど欲しがった理由のひとつが、彼のこの能力なのである。

ボンズやイチロー同様、ケンドールも、カウント2−0という状況に屈しない類い稀な才能の持ち主だ。しかし、ボンズとイチローをユニークな存在にしているのは、2人の野球スタイルがあれほど大きく隔たっているにも拘わらず、相手側にとっては2人とも同じように非常に危険な存在であることだ。イチローは相手投手を苛立たせ、ボンズは相手投手を威嚇する―。どちらの“毒”をとるかは、あなたの好み次第だ。

昨シーズンのAL首位打者だったイチローだが、彼のツーストライク後の打率は.271、ツーストライク後の三振はわずか63個。実際、そういう状況下でイチローよりいい打率を残した選手は、ケンドール以外にも何人かいるのは事実だ。また、イチローは、ボンズやレッズのショーン・ケーシー、他数名よりも多く三振している。しかし、カウント2−0となったあと、イチローほど意識的にファールを重ねて打席を長引かせる事のできる選手は、メジャーでは他にいない。全ては、彼の一風変わったハーフスィング的打法の賜物なのだろう。

イチローは、別に、バットを握った手首を返すスピードの速さで.372ものシーズン打率を稼いでいるわけではない。彼は、むしろ、バットをストライクゾーンの中で引き摺るようなスイングをする選手だ。しかし、手先の素早さでその分をカバーすることによって、他の打者に比べてより長い時間ボールを見ていることができているのだ。実際、キャッチャーミットに収まりかけたボールを、イチローのバットが無理矢理穿り出すように見える時さえある。

投手をイライラの極致に追い込むというのは、こういうことを言うのだろう。昨年のイチローは、カウント2−0となった48打席で10回しか三振を喫していない。―つまり、せっかく追い込んでみても、相手投手は5回に1回しかイチローの目を掠めて3ストライク目を投げ込むことが出来なかった事を意味する。そして、それは、教則ビデオのお手本にはとてもなれそうもない彼独特のスイングのなせる技なのである。

マリナーズの右翼手について、ブレット・ブーンもかつて次のように語っている…「彼がファールにしてしまう球には、凄いものもあるんだ。ツーストライクと追い込まれたあとに、ホームベースをほんのわずかだけ外したような変化球を投げられても、彼はファーストに向って走り出したような体勢のままで、辛うじてボールをひっかけてファールにしてしまう事ができるんだ。で、その直後には、今度はゴロを打って脚力でヒットにしてしまったりする―。観てると本当に面白いよ。まさに『精神一到、何事か成らざらん』って感じだ。」

あるALスカウトは、イチローはウェード・ボッグスに良く似ているという。つい最近殿堂入りが決まったばかりのボッグスも、投手を疲れさせることに関しては天下一品の技を持っていた選手だ。「イチローも全く同じ事をする」と同スカウトは言う。「彼とボッグスとの唯一の違いと言えば、イチローには足がある…という点かな。イチローの場合は、バットにボールが当たりさえすれば内野安打になる可能性があるからね。」

相手チームの内野手に言わせれば、イチローにはカウントなど関係ないという。打席での集中具合によっては、彼は守備隊形の穴を狙って好きなところに打球を転がしてヒットにできるのだそうだ。本来、そんなことは頻繁にできるはずもないのだが、デレク・ジーターによれば、イチローほどバットコントロールの上手い打者の打球を封じ込めるのは非常に難しいと言う。

「内野手がホームよりに1歩近づいたのに気づくと、彼はまるで狙ったかのように、そいつの脇を抜いていく打球を打つんだ」とヤンキースのショートは語る。「他にそんなことができる選手は、僕の知っている限りでは誰もいない。おまけに、彼がバッターボックスから飛び出すスピードと言ったら…!もう、完全にお手上げさ。捕球するために内野手が左右どちらかに1歩でも動かなくちゃならなかったら、彼はほぼ確実に送球より先に1塁に到達してしまう。」

イチローが“ミニ・スィング”のせいで損をしている部分があるとすれば、それはパワーの減少である。代償としてそれは妥当なものなのではあろうが、一方で、どんな状況でも決してスイングを抑える事のないボンズのことを考えると、ボンズがいかに危険な存在であるかに改めて気づかされる。不利なカウントなど気にする素振りも見せないボンズのカウント2−0後の昨年の打率は、.311もあったのである。

さらに驚異的なのは、そういう状況での45打席で彼が4本ものホームランを叩き出している事実だ。それはとりもなおさず、球界きってのホームランバッターは、たとえツーストライク後だろうと安全狙いでスイングを小さくする気などさらさらない…ということの証にもなっている。彼に対して少しでも隙を見せた投手は、必ず後悔する羽目になるのだ。

確かに、昨年、カウント2−0直後の3球目を振った場合のボンズの成績は、11打数1安打でしかない。しかし、4球目、5球目まで打席が長引いた場合、彼の打率は一気に300ポイントほども跳ね上がるのである。

あるNLスカウト曰く、「バリーが相手投手をじわじわと追い詰めていく様子が、見ていると手にとるようにわかる。彼が打席に入っている時間が長引けば長引くほど、投手の方がミスを犯してバリーにホームランを献上してしまう確率が高くなっていくんだ。」

つまり、ボンズに関するスカウティング・レポートがここ10年ほどずっと強調してきた内容が、ここでもまた繰り返される事になるわけだ…すなわち、「カウントに関係なく常に非常に危険」と―。

                     (以上)(^_-)

[32539へのレス] Re: 仕方ないんだろうけれど 投稿者:ウィンディー 投稿日:2005/01/09(Sun) 13:16
こんにちは。
USATodayの元記事には、選ばれた25人の選手に対してそれぞれ短い寸評がついていますので、どういう点が評価されたのか、参考のためにご紹介しますネ。(…「パワー全盛時代を象徴する結果となった」という投げやりな一言で片付けてしまうマスコミの怠慢さにも、ちょっと不満だったので…^^;)。やはりプレーオフ進出等のチーム成績及びそれに対する貢献度が大きく影響しているみたいですが、それだけでは説明しきれないようなちょっと変わった人選もあったりして、なかなか“興味深い”リストになっています…。(^_-)

         *************************************

       我々が選ぶトップ25人の輝ける選手達
      ― デヴィン・クランシー、USA TODAY Sports Weekly、1/6 ―
http://www.usatoday.com/sports/bbw/2005-01-05-top25_x.htm


なお、選考にあたり選者たちが考慮したのは、レギュラーシーズン及びプレーオフの成績、獲得した賞、数字には表れないその他の要素、などである。

(1)バリー・ボンズ(LF、ジャイアンツ)

2年前に自身が打ち立てたシーズン出塁率新記録(.582)を大幅に更新し(.609)、史上4番目となる長打率(.812)をも記録しただけでなく、4年連続のMVPも獲得した。我がサイトが選んだ年間最優秀選手でもあるボンズは、NL2位の得点をたたき出した打線で、相手チームにとっての唯一の脅威だった。

(2)アルバート・プーホールズ(1B、カージナルス)

NLCSでは、28打数14安打、4本塁打という成績でMVPに選ばれる。シーズン記録では、46本塁打(NL2位)、長打率.657(NL2位)、123打点(NL3位)。NLのMVP候補にもなり、往年のジョー・ディマジオともよく比べられる。ボンズが引退した暁には、球界No.1打者の座は彼のものだ。

(3)ヴラディミール・ゲレーロ(RF、エンゼルス)

シーズン206安打、39本塁打、39二塁打、124得点。高額複数年契約初年度の9月に大活躍してチームを地区優勝に導き、ALMVPに選ばれる。現役選手の中では2位となる生涯通算打率(.325)を有し、現役外野選手の中では2番目の強肩の持ち主でもある。

(4)マニー・ラミレス(LF、レッドソックス)

シーズン43本塁打、OPS1.009は、それぞれALトップ。ワールドシリーズでは打率.412を記録してMVPに選ばれる。球界でも最も恐れられる打者の1人。彼の性格に関する悪評は今年の活躍でいつの間にか消えたが、彼の守備の拙さに関してはそうはいかなかった…。

(5)エイドリアン・ベルトレ(3B、ドジャース)

25歳という年齢で大躍進を遂げ、メジャートップとなる48本塁打を叩きだし、総安打数でも200本以上を記録した。ベストシーズンの報酬として、シアトルから高額契約(5年総額6,400万ドル)を与えられた。

(6)ゲリー・シェフィールド(RF、ヤンキース)

AL東地区優勝を遂げたチーム内で、OPS(.921)、得点(117)、本塁打(36本、A−Rodと同数)の分野でトップ。ヤンキース内のベストヒッターとして、またシーズンの大半を肩の激痛に耐えながらプレーしたということで、ALのMVP候補にもなった。

(7)カート・シリング(SP、レッドソックス)

21勝6敗はALトップ、防御率3.26はAL2位。彼の「赤い靴下」は、既に伝説入りした感あり。

(8)ヨハン・サンタナ(SP、ツインズ)

ALトップの防御率(2.61)と奪三振数(265)を記録して、ALのサイ・ヤング賞を受賞。ヤンキースに敗れたプレーオフでは、2試合に先発して1勝0敗、防御率0.75を記録した。

(9)ジム・エドモンズ(CF、カージナルズ)

34歳という年齢で、自身のキャリアベスト・タイとなる42本塁打を叩きだし、キャリアベストの長打率(.642)も記録。5年連続でゴールドグラブ賞も獲得。ワールドシリーズでは不振だったが(15打数1安打)、リーグ優勝まではキャリア最高のパフォーマンスを披露した彼抜きでは、チームはワールドシリーズまで到達できなかったかもしれない…。

(10)デービッド・オルティーズ(DH、レッドソックス)

長打数(91)ではALトップ、本塁打(41)と打点(139)ではAL2位。地区優勝を決めたサヨナラホームランを打っただけでなく、ALCSでも歴史に残るような数々の決定的ヒットを放ってMVPに選ばれた。

(11)スコット・ローレン(3B、カージナルズ)

攻撃面ではキャリアベストシーズン(OPS1.007)を記録し、守備でも6回目のゴールドグラブ賞を受賞。ふくらはぎの怪我のせいでプレーオフの対ドジャース戦、対レッドソックス戦では無安打に終わったが、対アストロズ戦では3本塁打を放った。

(12)ミゲル・テハダ(SS、オリオールズ)

150打点はALトップ。2000年シーズンからずっと全試合連続出場中。今年のオールスターゲームのホームランダービーでは優勝。オリオールズは、テハダ獲得のためにかなりの金額を使ったが、元は取れたはず。彼がピッチングも出来たら、もっとよかったのに…。

(13)カルロス・ベルトラン(CF、ロイヤルズ/アストロズ)

アストロズへの移籍後、レギュラーシーズンの90試合では23本塁打を打ち、ポストシーズンの12試合では8本塁打を放った。打撃は素晴らしいし、守備もいい上に、まだ27歳という若さ―。どんな大金を積んででも彼が欲しいというチームが多いのも頷ける…。

(14)ランディー・ジョンソン(SP、ダイアモンドバックス)

防御率2.60、290奪三振を記録したにも拘わらず、今季の成績は16勝14敗に終わり、サイ・ヤング賞の投票でも2位だった。もし(ヤンキースへの)トレードが成立すれば、2005年シーズンは楽にALトップに立つ可能性あり。彼にとっての今季のベストシーンは、完全試合達成の瞬間。ワーストは、チームの51勝11敗という成績…。

(15)トッド・ヘルトン(1B、ロッキーズ)

キャリアハイとなる出塁率.469を記録して、攻撃面での勲章をもう一つ増やした。打撃成績のほぼ全項目でトップに近い数字をあげるが、ホームとロードでの格差が相変わらず大きく、それが気になると言えば気なる…。

(16)ロジャー・クレメンス(SP、アストロズ)

ALからNLへ移ってきた途端にNLを圧倒し、移籍初年度でサイ・ヤング賞を獲得する。生涯勝利数(328)でもメジャーの歴代トップ10に入る。41歳という年齢で35歳の頃と変わらないピッチングを披露。NLCSの第7戦で負けた事で、2005年も戻って来る可能性あり。

(17)イヴァン・ロドリゲス(C、タイガース)

デトロイト移籍初年度で大活躍し、キャリアベストとなる出塁率.383を記録する。彼の加わったタイガースがプレーオフに戻ってくるほうが、(彼の抜けた)マーリンズが戻ってくるより早いかもしれない…。

(18)ランス・バークマン(RF、アストロズ)

キャリアベストの出塁率(.450)だけでなく、それ以外のほとんどの部門でもチームトップの数字を残した。オフシーズンになってから被った故障のせいで今季の開幕に間に合わないことは、ベルトランと再契約できなかった場合にはチームにとって壊滅的な打撃になるだろう…。

(19)エリック・ガニエ(RP、ドジャース)

3年連続して圧倒的ピッチングを9回に披露する。45セーブを記録して、ローレイズ主催のベスト・リリーフ賞を受賞する。連続セーブ記録は途切れてしまったが、彼の今季の成績(82と1/3イニングスを投げて防御率2.19)は、サイ・ヤング賞を受賞した2003年の成績と比べてもなんら遜色ない。

(20)ジム・トーミ(1B、フィリーズ)

“たった”42本の本塁打と105打点は、彼の基準では“不振”の部類に入るらしい…。新ホーム球場となったシチズンズ・バンク・パークのほうが旧球場より打者有利であるにも拘わらず、ロードの成績(打率.300、23本塁打)のほうがホーム(打率.243、19本塁打)よりいいというのは、ちょっと不思議ではある。

(21)デレク・ジーター(SS、ヤンキース)

シーズン終盤に打順が1番に変わったが、何の問題もなくこなした。初めてのゴールドグラブ賞も受賞した。また、「ショートとしての実力は彼よりも上」と言われていたアレックス・ロドリゲスがトレードで移籍してきたが、そのチャレンジにもキッチリと応えてみせた。

(22)ジェイソン・バリテク(C、レッドソックス)

投球の組み立てにおいては、球界随一の技術の持ち主…という呼び声が高い。(特に、レッドソックスの投手陣からの信頼は絶大。)また、NY戦でのA−Rodとの大騒動でもわかるように、試合中にイチャモンを付けてくる相手に対しては、実力行使も厭わない。よく言うところの“リーダーシップの素質”を云々するまでもなく、彼がチームのリーダーであることは、あの1件で誰の目にも明らかになった…。

(23)J.D.ドリュー(RF、ブレーブス)

キャリアベストとなるヒット数(158)、本塁打数(31)、出場試合数(145)を記録した。やっと故障することなく、1シーズンを最後までプレーすることができた…。だが、ドジャースでベルトレの抜けた穴を埋めるためには、それ以上の活躍が必要とされるだろう。

(24)イチロー・スズキ(RF、マリナーズ)

「シーズン最多安打記録を塗り替えた(262)」と言うだけで、もう充分だろう…。更に言えば、盗塁でもAL2位(36)。外野手としてはメジャーNo.1の強肩の持ち主でもある。

(25)アルマンド・ベニテス(RP、マーリンズ)

セーブ数(47)ではNL1位。キャリアベストとなる防御率1.29も記録した。相変わらずシェイ・スタジアム(メッツのホーム)ではブーイングされていたが、(メッツ在籍中のブーイングと違って)最近のブーイングは手強い敵として認められた証拠。彼を獲得した事によって、ジャイアンツは1年以上もつクローザーを手に入れたのかもしれない…。

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…なお、26位以下の選手(寸評ナシ)は次の通り:

26. Mark Loretta, 2B, Padres; 27. Johnny Damon, CF, Red Sox; 28. Michael Young, SS, Rangers; 29. Mariano Rivera, RP, Yankees; 30. Travis Hafner, DH, Indians; 31. Jason Schmidt, SP, Giants; 32. Roy Oswalt, SP, Astros; 33. Melvin Mora, 3B, Orioles; 34. Brad Lidge, RP, Astros; 35. Bobby Abreu, RF, Phillies; 36. Adam Dunn, LF, Reds; 37. Francisco Cordero, RP, Rangers; 38. Aramis Ramirez, 3B, Cubs; 39. Vinny Castilla, 3B, Rockies; 40. Tim Hudson, SP, A's; 41. Jeff Kent, 2B, Astros; 42. Moises Alou, LF, Cubs; 43. Mark Teixera, 3B, Rangers; 44. Carlos Guillen, SS, Tigers; 45. Carlos Delgado, 1B, Blue Jays; 46. Victor Martinez, C, Indians; 47. Tom Gordon, RP, Yankees; 48. Steve Finley, CF, Diamondbacks/Dodgers; 49. Erubiel Durazo, DH, A's.

(以上)(^^)

[32522] リース選手の記事 投稿者:ウィンディー 投稿日:2005/01/06(Thu) 15:27
下のスレッドが長くなったので、新しいスレッドを立ててしまいました…。m(__)m

以下は、マリナーズ公式HPにアップされたリース選手の記事です。親しい友人のキャメロン選手が、どうやら、一生懸命リース選手を勧誘(?)してくれたみたいです…。(^ー^*)

          *******************************

     リース、ブーンと再びチームメートになるのが楽しみ
        ― ジム・ストリート、MLBcom、1/5 ―

http://seattle.mariners.mlb.com/NASApp/mlb/sea/news/sea_news.jsp?ymd=20050105&content_id=928026&vkey=news_sea&fext=.jsp


マリナーズ以外にも、レッドソックス、カージナルス、デビル・レイズ、カブスからオファーを貰ったポーキー・リースだったが、レッズ時代のチームメート、ブレット・ブーンと一緒にプレーしたいというのがマリナーズへの移籍を決めた最も大きな理由のひとつだった…と水曜の電話記者会見で本人が語った。

リース選手: 「僕のもともとのポジションはショートだし、ブーンとまた並んでプレーがしたいと思ったんだ。なんといっても、彼は球界トップの2塁手だからね。」

ブーンとリースは、1997〜8年のレッズでチームメート同士だったのだ。翌1999年にブーンがFAでブレーブスに移籍した穴を埋めるためにリースは2塁手にコンバートされたわけだが、結果的に1999年は両者にとって非常にいい年になった。ブーンはブレーブスでワールドシリーズ出場を果たし、一方のリースも、ワイルドカードで勝ち上がったレッズで打率.285、10本塁打、52打点、38盗塁という自身のベストシーズンを記録した。このリースの活躍に目をつけたマリナーズが、例のケン・グリフィー・ジュニアーとのトレードでリースも交換選手に含まれる事を強硬に要求したもののレッズに撥ね付けられ、替わりにマイク・キャメロンを獲得した…という経緯がある。

レッズ時代から友人同士だったリースとキャメロンは、今でも頻繁に電話で連絡を取り合っており、リースにオファーを出しているチームの一つがシアトルだと聞いたキャメロンは、熱心にシアトル行きを勧めたのだという。

リース選手: 「僕にマリナーズからオファーがきていることを知った彼は、すぐに電話してきてマリナーズについてひたすら褒めまくったんだ。シアトルは凄くいいところで、彼自身もすごくいい想い出がたくさんあって、今でも懐かしくて仕方ないところなんだ…ってね。」

マリナーズもリースを同じく高く評価している。“守備の天才”とも言えるリースは、8年間のメジャー生活中、4,000弱の守備機会でたった80個のエラーしか記録していない。それまでリーグ1位だった守備率が昨季は8位に急降下したマリナーズだが、今年は内野に4人の守備の名手を揃えることに成功した。特に1塁にリッチー・セクソンのような長身の選手を置いたことで、他の内野手にとっては送球が非常に楽になったと思われる。

リース選手: 「あれほど背の高い選手に向って投げた経験は、今まで一度もないな。彼が獲れないような高い球を投げる方が、かえって難しいだろうね。」

セクソン・ブーン・リース・ベルトレを揃えた内野は、球界でも有数の経験豊富な内野となった。

リース選手: 「彼らと一緒にプレーするのは、とても楽しいと思うよ。」

リースにとって大事な事は、怪我をしない事だ。ダイビングキャッチを試みた際の両手親指の骨折等、今まで数々の故障が彼を度々長期の休養に追い込んできたからだ。

リース選手: 「ずっと健康でいられさえすれば、非常にいい年にできると思う。」

(以上)

[32337] マリナーズ、ベルトレ選手の獲得を正式に発表する! 投稿者:ウィンディー 投稿日:2004/12/18(Sat) 07:56
マリナーズは、公式HPでエイドリアン・ベルトレ3塁手の獲得を正式に発表しました〜!(^○^)
http://seattle.mariners.mlb.com/NASApp/mlb/sea/news/sea_press_release.jsp?ymd=20041217&content_id=923782&vkey=pr_sea&fext=.jsp

入団記者会見は、現地時間4時pm(日本時間9時am)からだそうです。詳細はまたのちほど♪

----------------------------------------------- 午後

★マリナーズ公式HPより、ベルトレ選手の入団記者会見に関する記事です…。(^^)

            **********************


        ベルトレ:「シアトルに来れてワクワクしている」
      ―ダッグ・ミラー、MLBcom、12/17 ―
http://seattle.mariners.mlb.com/NASApp/mlb/sea/news/sea_news.jsp?ymd=20041217&content_id=923900&vkey=news_sea&fext=.jsp


マリナーズのファンは、球団がそのきつく締めた財布の紐を緩めて、ワールドシリーズを狙えるような有能なFA選手獲得のために大枚をはたいてくれる日が来るのをずっと待ちつづけていた。

そして今日、彼らはこの1週間で2個目のきらびやかなクリスマス・プレゼントを受け取る事となったのである。

球団にとって歴史的なオフとなるであろうこの冬、マリナーズはAL西地区最下位から再びトップに躍り出るために、スラッガーの1塁手リッチー・セクソンに続いて3塁手エイドリアン・ベルトレ(25歳)の獲得も正式に発表した。

「ここに来れて、ワクワクしている」とセーフコーで開かれた記者会見でベルトレは語った。「こんな素晴らしい球団組織に加われれたことは、自分にとっても大きなチャンスだと思っている。ここは素晴らしいベースボールタウンだし、来季のチームは競争力のあるいいものになりそうだし、近いうちに優勝まで狙えるようになるのではないかと思っている。」

(中略)

(ハワード・リンカーンCEOもバベージGMも、今回のベルトレ獲得を大成功だと信じているが、)ベルトレの2004年度の活躍をみれば、それも当然のことといえよう。

今年、ドジャースでメジャー最多となる48本塁打を打ったベルトレだが、これは、1980年にマイク・シュミットが打ち立てた3塁手としての最多ホームラン記録に並ぶ数字である。

また、その他のほとんど全ての攻撃部門においても、ベルトレはNLでもトップに並ぶ成績を挙げている。打率で4位(.334)、打点でも4位(121打点)だった彼は、NLのMVP投票でも2位に選ばれ、初めてのシルバー・スラッガー賞も受賞した。さらには、この夏の野球殿堂主催の晩餐会では、RBI(Reviving Baseball in Inner cities=都市中心部でベースボールを復興させる会)から「ヒューマニスト賞」も贈呈されている。

ベルトレは、2004年に「45本塁打と200本以上の安打」を両方クリアしたただ1人のメジャー選手でもある。この快挙を成し遂げた選手は、メジャー史上でも彼を含めてたった11人しかいない。

今シーズンのマルチヒット試合は63試合、マルチホームラン試合は7試合、満塁ホームランを3本打った一方で、3塁守備でのエラーはキャリア最少の10個しか記録していない。ベルトレは、2004年シーズン後半には26本の本塁打を打っているが、これもメジャーでトップの数字である。

「彼は、一言で言って、とてもいい選手」とバベージは言う。「昨年の彼は、一気に成長した。一年を通して健康だったので、コンスタントに試合に出ることができ、それによって実力を存分に発揮する事が出来たんだと思う。そういったすべての事が、ウチの球団がこれからしようとしていることにピッタリと合致したんだ。」

ベルトレによれば、2004年度の好成績は別にまぐれなんかではなく(…それまでのシーズン自己ベストは、打率.290、23本塁打、85打点)、これからも普通に維持できればいいと思っているものなのだそうだ。

「(今年の大躍進は、)いろんな小さなことの積み重ねのお陰だったと思う」とベルトレは言う。「これまでの経験や、少しづつ覚えてきた事が生きたんだ。初めて父親になって(注:ベルトレ選手は10ヶ月の女の子のお父さん)、それまでみたいに四六時中、野球のことばかり考えずに済んだのもよかったのかもしれない。バッティングスィングも少しばかりいじったんだが、それもタイミングよく上手くはまった。…これからも、同じようにやっていければいいと思っている。」

マイク・ハーグローブ新監督も、彼ならできると思っているようだ。

「エイドリアンは、私が思い描いている来季以降のマリナーズの構想にピッタリの選手だ」と球団が発表したコメントの中でハーグローブは語る。「彼の加入で、ウチの内野は、パワーを兼ね備えた3人のゴールドグラブ級の選手と将来が楽しみな若いショートで構成される事になった。数日前よりも数段いいチームになったのは、明らかだ。中軸にベルトレ、セクソン、ブーンがいてトップにはイチローがいることで、相当強力な打線を毎日の試合に送り出せるようになったと思う。」

1998年に19歳でのメジャーデビューをドジャースで果たしたベルトレは、その後の7年間をずっとドジャース一筋で過ごしてきた。そのために、今回の移籍に関する決断を下すのは、非常に難しかったという。

「とても、難しかった―」とベルトレは言う。「僕は、生まれてからずっとドジャースのユニフォームを着てたみたいなものだし、ロスのファンの人たちも、僕が今もロスを愛している事はわかってくれていると思う。でも、今は、この町に移って来て、ここのファンの人たちと仲良くやっていくことを楽しみにしているんだ。」

ベルトレによれば、マリナーズに来る事を選んだ理由の一つは、最近引退したエドガー・マルチネスの存在なんだそうだ。ドミニカ共和国で生まれ育ったベルトレは、少年時代を通してずっとマルチネスを崇拝してきたのだという。

「エドガー・マルチネスは、メジャー史上でも最高の右打者の1人だったし、非常に積極的に社会貢献を行う選手でもあった」とベルトレは言う。「僕としては、彼のそういうところを今後も見習っていきたいと思っている。」

ベルトレのエージェント、スコット・ボラスによれば、バベージがドジャース球団に在籍していた時代からベルトレのことを良く知っていたこと、そしてその彼が最初から根気良く交渉し続けてくれたことも大きかったという。

「ビルの功績は、とても大きかったと思う」とボラスは言う。「彼のお陰で、エイドリアンは早い段階からシアトルの関心の高さを知ることができた。マリナーズが彼と彼のキャリアの事を真剣に考えてくれている事を確信できたからこそ、今回の決断を下す事が出来たんだ。」

                         (以上)(^^)

[32313へのレス] Re: Beltre獲得か 投稿者:ウィンディー 投稿日:2004/12/17(Fri) 07:30
地元ファンのみならず、地元各紙も、今回の思い切ったFA補強(特に、ベルトレ選手の獲得)を高く評価していますね!以下は、シアトル・ポスト、ジョン・ヒッキー記者のそういった分析記事の“要約”翻訳です…。(^^)


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         マリナーズ、ハングリー精神を取り戻して若返る
       ― ジョン・ヒッキー、シアトル・ポスト、12/17 ―
   http://seattlepi.nwsource.com/baseball/204187_manalysis17.html



ホームランバッターのリッチー・セクソンとエイドリアン・ベルトレの獲得は、単に打線のパワー強化を意味するだけではない。それは、マリナーズのフロント・オフィスがついに方針転換をしたことを意味している。マリナーズは、他チームが羨ましがるようなFA選手を大枚をはたいて獲得しただけでなく、「チームの高齢化」(この2年間、マリナーズはメジャーで最も平均年齢の高いチームだった)に歯止めをかけて若返りを図る方向に動き出したのだ。

1年前のマリナーズを思い出してみて欲しい。中堅手キャメロン(当時30歳)がFAでチームを去ってショートストップのギーエン(28)がトレードで放出され、彼らの代わりに入ってきたイバニエス(31歳)、オーリリア(32歳)、スピージオ(31歳)は全員が前任者たちより年上で、しかもシーズン中にはそれぞれが誕生日を迎えて、さらにチームの高齢化に拍車をかけてしまった。

しかし、今回獲得したベルトレはわずか25歳だし、セクソンにしても、まだ29歳だ(もうすぐ30歳にはなるが…)。今後更なる変化がないとすれば、来季の攻撃陣はショートに21歳のホセ・ロペス、正捕手には26歳のオリーボが入る事になり、初めて前年度のバージョンより若返ることになる。そして、もし噂されているようにウィンがトレーで出されるような事があれば(…今の段階では、具体的な話は何もないが)、23歳のリードがセンターに入るかもしれないのだ。

実際のパフォーマンスが伴うかどうかはまだ不明だが、マリナーズは、今後5〜6年間は安泰なしっかりした若い攻撃の中核を確保する事に成功したのである。非力な老齢化した打線で今季99敗もしたチームにしては、たいした方向転換だ。

マリナーズのフロントが少々興奮気味なのも、当然のことかもしれない。惨憺たる2004年を経験した直後に、年々激化してきているAL西地区の優勝争いに今すぐにでも、そして今後数年間にわたってずっと加われるようなチームに作り直す事に、既にかなりの部分で成功したのだから。

マリナーズがどれほど今回の2選手の獲得に拘ったかは、今までご法度だった「バックローディーング」の手法を使ってまでも、彼らとの契約を成立させる道を選んだ事でもわかる。たとえば、セクソンの「4年総額5千万ドル」の契約だが、2005年度に彼が貰うのはわずか450万ドルでしかない。600万ドルの契約金(signing bonus)は、ブーン(2005年度の年俸900万ドル)やモイヤー(2005年度の年俸約750万ドル)への高額支払いが終わったあとの2006年度まで払われないことになっているからだ。そのように工夫する事によって、今、ベルトレを、そしてもしかすると、中堅先発投手(ミルウッドかペレス)をあと1人獲得できるだけの資金を残す事が出来たのだ。(注:ヒッキー記者以外の他の記者は、全員が「FAの獲得はこれで終わりで、今後投手陣の補強があるとすれば、それはトレードを通してだろう」と書いています…)

「我々は、複数年契約の“バックローディング”(初年度を安くし、後へ行くほど高額になるように設定すること)は好きではない」と球団CEOのハワード・リンカーンは言う。「―でも、他のやりたい事を可能にするために、したくないこともしなくてはならない場合もある。」

そして、今回のその「他のやりたい事」というのが、まさにベルトレの獲得だった。それによって、マリナーズの今後5〜6年間のチームとしての骨格を形作る事が可能になったのだ。

まずひとつには、ベルトレの加入によってロペスはショートに残る事になる。ロペスに関しては、マリナーズのフロントオフィス内では、以前から、打撃はいいが、はたしてメジャーレベルのショートが務まるのかどうかで意見が分かれており、3塁にコンバートすべきという意見もかなりあったのである。しかし、ベルトレがきた事で、それはあり得ないこととなった。よって、最も可能性のあるシナリオとしては、来季1年はショートをやらせてみて、もしよかったらそのままショートで使いつづけ、ダメとわかったら2006年には2塁にコンバートする…というものである。2005年シーズン開幕早々に36歳になるブーンは、来季が契約最終年であり、その後はチームを去ることも考えられるからだ。

勿論、最も大きなインパクトを受けるのは、2005年度のラインアップだろう。ハーグローブ監督は、「ホームラン王」(ベルトレ)、「打点王」(ブーン…ただし、“マリナーズ内の”だが)、そして「シーズン45本塁打を2回も記録した選手」(セクソン…2001年と2003年)を好きなように3,4,5番に並べる事ができるのだ。

ということは、本塁打を20本以上は打てる実力のあるイバニエスを打線の下の方に置く事ができるわけで、昨シーズン問題になった下位打線の貧弱さも、これで解消される事になる。

「4番打者がイバニエスというのでは、かなり厳しいが―」と、あるALチームのスカウトは言う、「もし彼が6番を打つのであれば、それは非常に強力な打線だと言える。」

シアトルの打線についてそんなことを言われるのは、かなり久しぶりの事であるのは間違いない。   
                         (以上)(^^)

------------------------------夜遅く…

もう一つ、同じくシアトル・ポストより、地元での反響の大きさに関する記事をご紹介しますネ…。(ちょっと球団の宣伝っぽい匂いもしますが…)^^;


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       突然、マリナーズ・クリスマスがやってきた
  ― アンジェロ・ブルスカス、シアトル・ポスト、12/17 ―
http://seattlepi.nwsource.com/baseball/204163_mreax17.html


前日にリッチー・セクソンと4年総額5千万ドルの契約を発表したばかりのマリナーズが、今度はエイドリアン・ベルトレと合意に達した…と言うニュースを聞いたデーブ・“ソフティー”・マーラー(地元ラジオ局のスポーツ担当の人気パーソナリティー)は、生放送中だったにも拘わらず、思わず涙ぐんでしまった…。

デーブ・ニーハウス(マリナーズの専属実況キャスター)は、「これで、来季のシーズンチケット販売には、また長蛇の列ができるよ」と言いながら、春期キャンプに備えて、いつ来シーズン用コマーシャルの音撮りが始まってもいいようにボイストレーニングを開始した…。

そして、地元ファンのローリン・サンドレツキーは、ひょっとして、今年はクリスマスがいつもより早く来てしまったのではないかと思いながら、目を覚ましたのであった…。

ソニックスやハスキースやシーホークスのニュースがシアトルを賑わしているはずの季節に、突如としてマリナーズが再び町の話題の中心に躍り出たのである。

「私が真っ先に思ったのは、『また興奮が戻って来た』ということだった」とニーハウスは言う。「たった48時間の間に、1シーズン75本から90本もの本塁打が上乗せされたんだからね。“パワー”こそが、ウチのチームが最も必要としていたものだった。ベースボールは得点が命のゲームなのに、今季のウチは、得点でも本塁打数でも最下位だったわけだからね…。」

地元のスポーツラジオ局KJR−AMの編成局長のリッチ・ムーアによれば、マリナーズについて話したいというファンからの電話が殺到して、局の電話回線はパンク状態なんだそうだ。

「オフのこの時期に、これだけ高額な契約を2人もの選手が手にするのを見たのなんて、初めてのことだ」とムーアは言う。「もの凄い反響だよ。ソフティーなんて、放送中にもう少しで泣き出すところだったんだからね。」

マーラーが昼の番組で喋っている最中に、マリナーズとベルトレが5年総額6千4百万ドルの契約で合意した、というESPNのニュースが入ってきたのだ。

「期待という面から言えば、予想を遥かに越えた桁違いのニュースだった」とマーラーは言う。「あの2人のうちのどちらかを獲れただけでも、ファンは大満足だったと思うのに、“両方”だなんて、これはもう、ほとんど信じられない世界だった。そう、“ショック”と“賛嘆”って言う感じかな…?あのマリナーズが2人もいっぺんに追いかけたという事実にまずショックを受け、それから実際にそれをやってのけたという事実に改めて賛嘆の念を抱いたってわけだ…。」

番組に電話してきたあるファンは、すぐにシーズンチケットを買いに走るつもりだと語った。マリナーズの専属ラジオ局であるKOMOは、「シーズンチケットを求めるならお早目に―」というコマーシャルを早速流し始めたほどだ。

体の大きさと観戦する試合の多さから、「シアトルの最大のスポーツファン」として有名なサンドレツキーは、来季はほぼ全てのホームゲームを観戦するつもりだそうだ。今季も65試合に足を運んでいる忠実なファンの彼は、セクソンとベルトレの獲得だけでなく、ハーグローブ新監督とベイラー新打撃コーチにも大いに期待しているんだそうだ。

「あの2人は、メジャーでも最高のコーチ・コンビだと思うよ。その上、たった2日の間にセクソンとベルトレの両方を獲れただなんて、もうこれ以上のことはないね。凄くいいチームになったと思う。」

サンドレツキーは、2005年度のマリナーズはまた110勝程度出来るのではないかと思っているのだそうだ。

「今年のオフの動きとしては、マリナーズのやったことは、球界1だと思うよ」と彼は言う。「我々ファンにとっては、なんて素晴らしいクリスマスプレゼントになったことか…!」

ニーハウスがあるナショナルリーグのスカウトから聞いたところでは、ベルトレの3塁の守備は球界でもナンバーワンだそうだし、セクソンにしても、マリナーズの守備力の向上に大いに貢献するだろうとのことだ。

「地元のブラッシ・プレーリー出身のあの子(セクソン選手のこと)も、ファーストの魔術師なんだ」とニーハウスは言う。

しかし、最も印象的なのは、やはり攻撃面でのインパクトの大きさだろう。

「ヤンキースやレッドソックスとも対等に渡り合えるような、立派な打線になったと思う」とニーハウスは言う。「『試合に勝つのはピッチングと守備だ』とよく言われるが、守備はこれで整ったし、ピッチングの方はまだわからない。―でも、私に言わせれば、試合に勝つためには何よりも得点する事が最優先だ。来季が非常に楽しみになったね―ほんとうに。」

矢継ぎ早に決まった2強打者の獲得は、チームが今季崩壊した事で批難の的となったフロントオフィスとオーナーシップに対するプレッシャーの緩和にも役立つことになるだろう。

「彼等が殊のほか頑張ったことがこれで証明されたし、彼等がやると約束した事はすべて実行されたわけだからね」とニーハウスは言う。「93勝した次のシーズンに99敗するなんて、これ以上屈辱的なことはない。今季ほどシーズンを長いと感じたことは、私のキャリアの中でもいまだかつてなかったことだった…。」

今季のマリナーズは、63勝99敗という成績で、AL西地区のダントツの最下位に終わった。

「この1,2年は、いろんな人たちの心に深い疵を残した」とマーラーは言う。「でも、今回の事で、オーナーシップが本気で勝ちに行っていることがはっきりした。番組に電話してきたファンのほとんども、『これこそが、我々がずっと待ち望んできた事だったんだ』という意見だった。球団が、やっと我々の期待に応えてくれたんだ。」

                         (以上)(^ー^*)

[32297へのレス] Re: Sexson選手、マリナー... 投稿者:ウィンディー 投稿日:2004/12/16(Thu) 09:18
マリナーズ公式HPより、セクソン選手契約を伝えるジム・ストリート記者の記事を“要約風翻訳”(?)^^;でお届けしま〜す。

http://seattle.mariners.mlb.com/NASApp/mlb/sea/news/sea_news.jsp?ymd=20041215&content_id=922865&vkey=news_sea&fext=.jsp

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徹底的な身体検査の結果、リッチー・セクソンの両の肩が健康だとわかったため、マリナーズはこの地元出身の右打ちのパワーヒッターとの4年契約を締結した。

バベージGM: 「チームに攻撃力を付けるための最初の一手としてリッチ―を獲得できた事を、我々は非常に嬉しく思っている。最初から言っているように、今オフの我々の第一の目標は、攻撃力の強化だったわけだからね。」

マリナーズが獲得した身長6フィート8インチ、体重237ポンドの1塁手の過去4年間の通算成績は、年平均で32本塁打、94打点。(…アリゾナでの2003年シーズンは、左肩の故障のために23試合にしか出場できなかったにも拘わらず、である。)打席でハーフスィングをした際に左肩を痛めて4月29日から5月20日までDL入りしていたセクソンは(DL入りは、キャリアでわずか2回目)、復帰した直後の5月23日には同じ箇所を再度痛めて6月4日には内視鏡手術を受ける羽目になり、そのままシーズン終了となってしまった。よって、2003年度の成績は、23試合出場で9本塁打23打点ということになる。

セクソン選手: 「プロになった最初の頃から、この球団には愛着を持っていたし、いつか必ず入団したいと思っていた。元通りの強さに戻す手助けをしたいと思っている。」

ウィンターミーティング開催中の日曜日には、双方は既に基本的合意に達していた。だが、マリナーズ側は、セクソンの肩が100%健康であると確信できるまでは、契約については一切コメントはしないと決めていたのだ。

セクソン選手: 「―とにかく、検査を山ほど受けた結果こうなったので、(肩の)健康状態については何の問題もないと、かなりの自信を持って言える。今すぐ外に出て、ジャングルジムにでも飛び乗って、その上で宙返りでもしたいぐらい、今はいい気分だ。」(^o^)

月曜日にセクソンのエージェントのケーシー・クローズが「まだ何も決まっていない―セクソンはまだフリーだし、ボルチモアとも引き続き交渉中だ」と報道陣に告げた時には、かなりハラハラさせられたものだが、今はそれも過去の事だ。

セクソン選手: 「こここそが、僕が最もプレーしたかった場所なんだ。ボルチモアとNYメッツとも交渉していたが、僕も家族も、心の奥底では、こここそが僕の来るべき場所だとずっと思っていた。」(注:セクソン選手は、シアトルに程近いワシントン州バンクーバー市出身)

契約の内容は公表されなかったが、情報筋によれば総額5千万ドルの4年契約で、これによってチーム1の高額契約選手はセクソンとなった。(イチローの複数年契約の残り3年分の年平均金額は、1,100万ドル)

誰もが期待しているのが、セクソンの加入によって得点力が飛躍的に増加する事。今季のマリナーズは、63勝99敗でAL西地区最下位に沈み、得点(698)でも本塁打数(136)でもリーグ最少だったからだ。

セクソン選手: 「マリナーズが今季の成績にガッカリしている事は、このチームをずっと見守ってきたものなら誰もが分かっていること。そこから這い上がろうとしているチームの大きな助けになりたいと、僕は思っている。どんなチームでも不振の時はあるものだが、肝腎なのは、その組織全体が本気で勝ちたいと思っていること―今すぐ勝ちたいと本気で思っていることなんだ。」

ライアン・フランクリン投手は、この契約のニュースを聞いて非常に喜んだ一人だ。

フランクリン投手: 「本当にもの凄くいいニュースだ。彼の加入は、ウチにとって大きな助けになる。」

フランクリンの受ける恩恵は、かなり大きいかもしれない。今季4勝16敗という成績に終わったフランクリンだが、彼が今季打線からもらった援護は、「9イニング平均で3.14点」というア・リーグ最少のものだったからだ…。

フランクリン投手: 「もちろん、僕が勝つためには彼だけじゃ足りないのはわかっているけどね…。(笑)でも、いいスタートだと思う。あと、カルロス・デルガドなんてのもいいね。エイドリアン・ベルトレも悪くないし…。でも、セクソンの加入は凄く嬉しいし、球団もまだ他にも何かやってくれるんじゃないのかな。」

実際、球団はデルガドともベルトレとも相変わらず話し合いを続けているようだが、両方がシアトルと契約するようなことはまずありえないだろう…。

フランクリン投手: 「今回の事は、僕としては驚いてはいない…凄く嬉しいだけだ。チームにとっても非常にいいことだし、球団にとっても誰にとっても素晴らしい事だと思う。リーグ最下位の得点力をなんとかしなくちゃいけないだろうと思っていたところへ、中軸を打てるホームランバッターを獲ってくれたわけだからね。しかも、凄くいいヤツなんだ、あいつは。」

今のところ、セクソンは1塁を守る事になっているが、もしマリナーズがデルガドを獲得することができれば、セクソンはレフトを守る事になる。

セクソン選手: 「僕にはレフトの経験もあるし、もし僕がレフトに入ることがあれば、それは、ファーストにはかなり凄い選手がいるってことを意味するわけだからね…。そして、もし僕の入るのがレフトでなくてファーストでも、勿論、それはそれで何の問題もないしね。」

今回契約したことで、セクソンは、メジャーでの最初の監督だったハーグローブとまた一緒に仕事をすることになる。

ハーグローブ監督(本人は不在―コメントが発表された): 「リッチーのような打撃成績を上げてきた選手の加入は、打線に怖さを与えてくれる。彼は正真正銘の中軸打者で、最近4年間のパワーヒッターの中でも上位に入る選手。我々がこのオフにやろうとしていることの、彼は最初の大きなパーツであり、彼がシアトルに来てくれたことを私としては非常に嬉しく思っている。」

セーフコーフィールドは右打者にとっては難しい球場であると言われてはいるが、セクソンにはどんな球場でもホームランを打てるだけの力が備わっている。

セクソン選手とは親しい友人のトム・ランプキン元マリナーズ捕手(セクソン選手同様、ワシントン州バンクーバー市在住): 「彼はライトへも右中間へも上手く球を運べる選手だから、この球場でも何の問題もないだろう。彼は人間としても最高の男だし、チームの連中とも凄く上手くやっていくと思うよ。」・・・(以上)(^^)

------------------------------夜

★シアトル・ポスト、アンドリーセン記者の記事『マリナーズがリッチーをもっとリッチにする』より、補足情報です:
http://seattlepi.nwsource.com/baseball/203978_mari16.html

●厳しい身体検査を徹底的に行ってセクソン選手の肩が100%完治していると確信できたマリナーズは、故障が再発した場合に備えた条項を契約の中に一切入れなかったのだそうです…。

バベージGM: 「最初から(セクソン選手の肩については)大丈夫だと思ってはいたが、医師団には、(厳しい検査で)徹底的に彼をいじめてもらった。医者が言うには、こういう突発的な故障が今後また起こる確率は10%ぐらいで、それは彼だけでなく、我々一般人や他のどんな選手の場合でも同じなんだそうだ。」

また、今年故障するまでのセクソン選手は非常に頑丈な選手だった事も確かで、それまでの182試合で連続出場イニングス数を「1,642イニング」まで伸ばしていました。2003年には、1986年のリプケン選手以来、「シーズン162試合の全イニングをプレーした初めての選手」にもなっています。

●もう1人、強打者を獲得する事について。

バベージGM: 「我々としては、強打者がもう1人必要だと思っているし、できれば、あと投手も1人ぐらいコッソリ獲得できればいいと思っている。でも、手持ちの戦力を最大限に生かすためにも、次に打つべき一手は、間違いなく強打者をもう1人確保することだ。・・・(セクソン選手を獲得したことで、その仕事も楽になるはず…と言って―)いろんな選手と話をするたびに、相手が真っ先に言うのは、『僕がマリナーズの最初の獲得選手になった場合、あなたたちが約束どおりに補強を続けてくれるという保証はどこにもないじゃないか―』ということだった。だから、今回のリッチ―との契約は、チームにとって間違いなく非常に重要なファーストステップだったんだ。」

●レフトを守る事について。

セクソン選手: 「3Aから上がってきたばかりの選手のために1塁を明渡したりするつもりはないが、デルガドとか、そういうった選手のためなら動いてもいいと思っている。だから、もし僕がレフトを守っていたら、それは、ウチのチームがかなりいい1塁手の獲得に成功して、かなりいいチームになっている…という証拠にもなるわけだ。」(^_-)

●月曜日に、契約が既に内定していて身体検査も行われていたにも拘わらず、セクソン選手のエージェントが「シアトルとはまだ何も決まっていない。身体検査もまだしていないし、ボルチモアとも引き続き交渉している」と言った事について。

バベージGM: 「私が彼の立場だったら、同じことをしただろうと思う。確かに、我々は合意に達して握手もしたが、その時に彼が何の隠し立てもせずにこう言ったんだ―『(身体検査で)何か起こった場合に備えて、今の段階では他球団とのパイプを完全に断つわけにもいかないので、まだ話し合いを続けることもあるかもしれない―』ってね。」

●背番号について

なかなかさんも書いてくださっていますが、それまでずっと「44」をつけていたセクソン選手は、ミルウォーキーに移籍した時にも、ついうっかり「44」を所望してしまい、「それは、(永久欠番になっている)ハンク・アーロンの気分を害すと思うけどね…」と素早くたしなめられてしまったんだそうです〜。(;^_^A

で、それ以来「11」をつけることになったセクソン選手ですが、今回、マリナーズに来た時は、同じ間違いは繰り返さなかったようです…。^^;

セクソン選手: 「シアトルで『11』(注:エドガー選手の付けていた番号)は、明らかにマズイだろうと思ったんで(笑)、また『44』に戻したんだ。」(^O^)